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ahamoのサブブランドっぽさを考える

先日発表され大きな話題を呼んだドコモの新料金プラン「ahamo」。非常に意欲的なプランであり、ドコモから他社への挑戦状なのは明確だと思います。しかし、発表当初より「サブブランドを急遽新料金プランとして出し直したものではないか」という話題も出ていました。どうしてそのように言われているのでしょうか。

(当初は) 既存プランからの切り替えにMNPが必要だった

www.nttdocomo.co.jp

まずahamo発表当初の発表内容では、サービス開始の3月から準備完了する5月までの間は「他社から乗り換えのお客さまと同等のお手続きを行っていただきますが、手数料や解約金のご負担はございません」とされていたことが挙げられます。他社から乗り換えのお客さまと同等のお手続きというのはおそらくMNPのことでしょう。普通の新料金プランであれば当然このようなシステムになるわけはないので、元々ahamoが別のブランドとして計画されていて、それをドコモブランドの新料金プランにするにあたって追加の作業が発生したからだと考えられます。

ちなみにその後のアナウンスで、この追加作業が予定より早く終わる目処が立ったのか、ahamo開始の時点からドコモユーザーは通常の料金プラン変更と同等の手続きで切り替えられるように予定が変更されました。

専用のドメインを持ったサイトがある

www.ahamobile.jp

ahamoには専用ドメインの特設サイトが用意されています。ただの料金プランの宣伝の割にはやたらと力が入っていますね。さて、よくよくこのページを読むと「料金プランは1つ!」というキャッチフレーズが書かれています。料金プランの宣伝サイトなのに、料金プランは1つって書いてあるのはおかしいですねえ……。

かけ放題オプションの価格が既存プランと違う

ドコモの従来プランでは、かけ放題オプションが1700円、 5分間通話無料オプションが700円になっています。ahamoでは、かけ放題オプションが1000円で提供されていて従来プランよりも安くなっています。同じブランドで同じオプションサービスが異なる価格で提供される合理性はないので、やはりahamoは元々廉価サブブランドとして考えられていたという説に根拠を与えています。

なぜこんなことに?

なぜこんなチグハグな状態になってしまっているのかというと、それは総務省サブブランドでの料金値下げに強い不快感を示したことが理由でしょう。個人的には本当にくだらない話だと思いますが、メインブランドから容易に切り替えができ、切り替えにあたっての手数料のハードルも低い料金プランで料金を引き下げないと総務省は満足できないということです。そこでドコモは急遽廉価版サブブランドとして用意していたahamoをドコモの新料金プランということにしたのでしょう。

MNOは相当に譲歩していると思いますし *1、これでもプランやブランドを切り替えずに「携帯料金高い、政府がなんとかしろ」と叫んでいる人はもう放っておいていいと思うのですが……。

*1:MNOが行っている乗り換えハードルの低減化などについてはまた記事を書きます

ahamo発表とそれに続く騒ぎ

先日NTTドコモが意欲的な料金プラン「ahamo」を発表しました。

www.nttdocomo.co.jp

「ahamo」の概要をかんたんに説明すると、

  • 月間データ容量は20GB
  • 20GB超過後も最大1Mbps
  • 82カ国地域で海外ローミング無料
  • 5G対応
  • 5分までの国内通話無料
  • 新規契約事務手数料無料 機種変更手数料やMNP転出手数料も無料
  • 契約やサポートは原則Webやアプリを使用
  • 2年契約や解約金なし
  • 月額は2,980円(税抜)

となります。すでにMVNO各社が出している20GBプランより安く、海外ローミングや5G対応、各種手数料無料などかなり有利な条件を提示してきました。インターネットではこのプラン発表は概ね好意的に受け入れられているようで、ドコモへの乗り換えを検討する声も多く聞かれました。確かにかなり攻めたプランだとは思いますが、本当に非の打ちどころのないプランなのかは落ち着いて考える必要があります。

20GBというデータ容量

「ahamo」のポイントとして、5Gにも対応しているという点が挙げられます。ここで、20GBというデータ容量は5Gの魅力である高速通信を使いこなそうとすると案外手狭です。例えば、4K動画をストリーミングで視聴すると1時間に7GB程度の容量を消費します。「いや、4Kなんか見ないよ」という人だったとしても、フルHD動画をストリーミングで視聴すると1時間に1.5GBから3GB程度消費します。

ドコモの現行大容量5Gプランである「5Gギガホ」は、現在容量無制限のキャンペーン中です。auの同等のプランも容量無制限です。SoftBankは50GB制限ですが、動画やSNSサービスがカウントに入らない仕組みになっています。なので、「5Gギガホ」から変更しようと思っている人や、他社の5Gプランから乗り換えようと思っている人は、20GBで足りる使い方をしているか一度点検するのが良さそうです。特に若い人だと家に固定回線を引いておらず、すべての通信をモバイル回線でやっていて、想像以上に大量のデータ通信をしているケースもあるだろうと思います。

既存の割引サービスは併用できない

既存プランに適用される契約回線数に応じた割引や、固定回線の契約に伴う割引などは一切適用されません。「5Gギガホ」や小容量プランである「5Gギガライト」は条件を適用することで以下の割引が受けられます。

割引条件 割引額
家族で3回線以上ドコモを契約している -1,000 (2回線なら-500)
ドコモ光を契約している -1,000 (5Gギガライトは3GB未満利用のとき-500, 1GB未満利用の時割引なし)
携帯料金をdカードで払っている -170

これらの割引が受けられなくなると、「ahamo」に移行したほうが高くなるケースがあるのではという気がします。いろいろ計算してみましたが、「ahamo」は家族の中で小容量しか使っていない人が乗り換えるほどのプランではないようです。具体的には、5GB未満でしか使っていない家族の契約の場合、「ahamo」に乗り換えると高くなるケースがありました。

また、ドコモは既存のプランについても改定を予告しています。これらの新プランの価格設定次第では、「ahamo」に乗り換えたほうが高くなるケースがさらに増える可能性もあります。それについては新プランが発表され次第計算してみたいと思います。

www.itmedia.co.jp

一部のサービスは利用不可

現時点で、キャリアメールは提供されないことが決まっています。他にも今後提供されないサービスが発表される可能性があります。いまのところ、dアカウントやdポイントは引き継げるとともに、d払いの電話料金との合算払いにも対応予定とのことです。

auの新プラン発表が大荒れ

「ahamo」の発表の約1週間後にauが新サービスを発表しました。様々なサービスが発表されたのですが、世間の注目を一番集めたのは新プランの発表でした。この発表内容がすこぶる評判が悪く、Twitterでは「au解約」がトレンド入りする事態となってしまいました。

「ahamo」対抗プランではなかった

発表の評価が荒れた理由としては、今回発表されたプランが「ahamo」に対抗するためのプランではなく、従来のプランの拡張だったことが挙げられると思います。プランの内容としては、従来存在した「データMAX 5G」というデータ容量無制限のプランを一部変更した上で、Amazonの有料会員サービス「Amazonプライム」と動画配信サービス「TELASA」の利用権を付帯したものが発表されました *1。発表を見ていた多くのユーザーが、ドコモのインパクトある発表を知っていたでしょうから、それに近いものを期待していたと思われます。auは「ahamo」対抗プランを出すとは言っていなかったはずですし、何も嘘はついていないんですが、やはりこの新プランを出したタイミングが悪すぎたのではと思います。もう少し後に出していれば、ここまで叩かれることはなかったのではないでしょうか。

その上で、先程書いたとおり今回発表された新プランはあくまで既存プランの拡張なので、他社と比較するなら既存の5Gプランと比較するのが正しいと思います。インターネット上では新プランの発表で複雑な割引条件を経た後の最安価格が大々的に打ち出されていることが批判されていましたが、これは他社の既存プランも同様です。データ容量も無制限になっていて、20GBしかない「ahamo」とはターゲット層も違います。全く向いている方向が違うプランを比較して、「auの新プランは高い!」と評価するのは違うのではないかと思います。

「ahamo」と比較対象になりそうなのは、auのサブブランドであるUQ mobileが提供しているプランではないかと思います。こちらについてはもう少し動きがありそうなのですが、記事も長くなってきたので別の記事としたいと思います。

*1:個人的には、プラス200円弱の負担でAmazonプライムを使えるようになるので、Amazonを使っている人ならアリなんじゃないかと思いました

Kyashが「残高利息」サービスの見直しを発表

https://news.kyash.co/post/636837653937012736/20201207
news.kyash.co

前の記事で法的にグレーな部分があるようにみえる点などを指摘したKyashの「残高利息」サービスですが、リリースの直前になってリリースの中止と、名称及び内容の見直しが発表されました。

www.itmedia.co.jp

ITmediaの記事によると、「ユーザーや関係省庁、パートナー企業などに迷惑を掛ける可能性が出てきた」ということで、関係省庁というのは間違いなく金融庁でしょう。金融サービスを担っている企業がこのような法的リスクを犯してまで新サービスを出そうとしていたこと、それを社内の誰も止められなかったこと、極めてお粗末だなという感想しかありません。金融サービスは信用を失ったら終わりですよ。

Kyash が「残高利息」サービスを開始 & 決済還元の上限変更

前の記事でも取り上げたKyashが、銀行やコンビニから入金した残高の年利1%の「利息」を付与する「残高利息」サービスを開始するようです。

https://pr.kyash.co/post/636270936590598144/20201201
pr.kyash.co

付与される利息はKyashバリューと呼ばれる出金や送金ができず決済にのみ使用できる残高となります。利息計算は毎日、付与は毎月1日に前月分が行われますが、前月に1回以上の決済を利用していることが条件となります。

合わせて決済に利用したときの還元の上限の変更が実施されます。

https://news.kyash.co/post/636270936348393472/20201201
news.kyash.co

これまでは銀行やコンビニから入金した残高 (Kyashマネーと呼ばれ、出金や送金ができる残高) で決済しても、クレジットカードやデビットカードから入金した残高 (残高利息と同じKyashバリューで、出金や送金ができない残高) で決済しても同じ還元上限でした。それが、クレジットカードやデビットカードから入金した残高での決済の場合、還元上限が引き下げられます。

見解

Kyashは資金移動業を取得し、銀行口座への出金に対応しました。現状はKyashマネーという資金移動業としての「送金を待っている滞留資金」と、Kyashバリューという資金決済法に定められる「前払式支払手段」の2つが併存している状態です。Kyashとしてはできるだけ前者の利用を促進し、後者の利用は縮小させたいという考えがあると思われます。残高利息の付与はKyashマネーの利用促進ですし、Kyashバリューの還元上限引き下げはKyashバリューの利用を減退させる効果があるでしょう。このようなことをしたい理由ははっきり断言できませんが、カード会社に払う手数料負担が重いなどが考えられると思います。実際、複数のコード決済事業者がカード経由での決済より、銀行などからチャージした残高からの支払いを優遇していたりします。年利1%が高すぎて不安という声もあるようですが、この手数料の差額で意外とまかなえるのかもしれません。Kyashはコード決済事業者のように派手なキャンペーンはやってないですし、自分で加盟店開拓もしてないので、そのへんのコストは低いはずです。

「残高利息」は法的にどうなのかが気になります。資金移動業は銀行ではないので、出資法により預り金を受け入れることができません。Kyashの利用規約にも「預金目的での利用は禁止」と明記されています。Kyashマネーは金融庁が示している以下の預り金の定義に当てはまるのでしょうか。

  1. 不特定かつ多数の者が相手であること
  2. 金銭の受け入れであること
  3. 元本の返還が約されていること
  4. 主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とするものであること

1から3は当てはまっているように見えます。4に当てはまるのかですが、利息の付与に「月1回の決済利用」が条件付けられているのがポイントになるのではないでしょうか。決済利用が反復的に行われているので、預け主の便宜のために金銭の価額を保管しているとは言えない、という理屈なのだと思います。金融庁的にはこの理屈でOKなのか、見解を聞かせてほしいですね。

Kyash が3Dセキュアに対応

ウォレットアプリ「Kyash」と紐付けて使えるプリペイドカードであるKyash Cardが本日から3Dセキュアに対応しました。

本人認証サービス(3Dセキュア)に対応しました - Kyash NEWS

3Dセキュアとは、オンラインショッピングの際に、カード情報に加えてカード会社による本人認証を行うことで、カード情報を盗まれたことによる「なりすまし」ての不正決済を防止する仕組みのことです。

3Dセキュアのよく知られている方式としては、ユーザーがカード会社に予めパスワードを登録しておき、決済時にカード会社が用意したページに移動、そこでパスワードを入力するというものがあります。Kyashは今回VCASというVISAの提供するソリューションを導入することで、これに加えてワンタイムパスワードを使った新しい認証方式にも対応しています。新しい認証方式では、カード会社が決めたルールに基づき不正利用の可能性が低いと判断された場合には認証を求めないようになっており、安全性を保ちながらユーザーの利便性が保たれる設計になっています。

prtimes.jp

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ワンタイムパスワード方式の場合は、メール・SMS・アプリの3パターンの通知を選ぶことができます。選択してから通知までの速度は速いです。数秒も待たないくらいでしょうか。これならばストレスなく利用できそうです。

3Dセキュアが使えるようになったことで、各種QRコード決済や一部のオンラインショッピングサイトなど、利用に3Dセキュアが求められるケースでもKyash Cardが使えるようになります。日本のオンラインショッピングサイトだと3Dセキュアを求めないサイトも多いですが、海外だと3Dセキュアがあるケースも多いので、海外での通販決済に使いたい場合にはありがたい変更となりそうです。Kyash Cardは従来使えなかったホテルでの宿泊費の決済にも使えるようになったり、不正利用補償制度が整備されるなど、サービスの改善が進んでいます。以前よりは一般の人にもおすすめしやすくなったのではないかと思います。

アメックスから誕生日プレゼントが届いた 2020

 私事ではありますが、先日11月7日に誕生日を迎えました。私はアメリカン・エキスプレスのプラチナ・カードというカードを持っているのですが、このカードを持っていると毎年誕生日にプレゼントが送られてきます。 毎年何が送られてくるかはわからないようになっています。昨年はイタリアンレザー製のパスポートケースでした。

 実はすっかりこのプレゼントの存在を忘れていたのですが、家に帰るとクロネコヤマトからの荷物が届いていました。これ、きっちり誕生日に配達指定して送ってくるんですよね。段ボール箱の中にはアメリカン・エキスプレスのロゴが描かれた箱、更にそれを開けると……。

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 今年は謎の布が送られてきました。何だこれと思っていたら、「あづま袋」というものだそうです。風呂敷のようなものですが、風呂敷そのものとは違ってある程度縫ってあるので、型崩れ等がしにくくなっているようです。昨今のエコバッグブームに合わせたものでしょうか。大きさはそこそこあるのと、形状がある程度自由効く点が普通のバッグよりいいかもしれません。

 せっかくもらったので、今度使ってみようと思います。

Revolut の物理カードが届いた

先日アカウントを開設したRevolutですが、申し込んでいた物理カードが先日届きました。早速紹介したいと思います。

カードは普通郵便で送られてきました。料金後納郵便と書いてあったので、日本国内から発送されているようです。カードを普通郵便で送るのはちょっと怖いと感じる人もいるかも知れませんが、Revolutのカードはアプリから有効化処理をしないと使えないので安全だと思います。

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封筒の中には、カードの簡単な案内とカードが入っている薄い箱だけが入っていました。

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この箱がちょっと面白い構造になっています。右の半月状になっているところを持って引っ張ると左右に中身が飛び出る仕掛けになっています。飛び出てきた部分の左側にカードが入っています。

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右側の裏には、カードの簡単な機能説明が書かれています。

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カードは日本ではまず見かけない独特な色合いのデザインです。海外だとこういう派手な色のカードも見かけますね。Revolutと並んで人気のあるサービスであるMonzoは赤みがかったオレンジだったりしますし。券面は色が派手な以外は、カード番号・有効期限・氏名がいつもの位置にあるのと、左上にRevolutのロゴ、右上にEMVコンタクトレス対応を示すマーク、左中央に小さめのICチップ、右下にVISAロゴと、標準的な配置でシンプルなデザインになっています。カード番号・有効期限・氏名はエンボス加工になってました。デビットカードとしては珍しいと思います *1

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裏面にも必要最小限の事項しか書かれていません。中央にサインパネルがありますが、そこにAUTHORISED SIGNATUREとイギリス英語で書いてあるのが興味深いです。あとは磁気ストライプがやたら太いですね。確かダイナースの磁気ストライプもこれくらいの太さだった気がします。これも日本のカードではあまり見かけません。左の方にリアルな鳩のホログラムがあります。これは多分VISAのホログラムなんだと思いますが、こんなバージョンのがあるのは知らなかったです。右下の方にVISA GOLD DEBITと書いてあります。このカード自体は無料なのですが、GOLD相当の扱いなんでしょうか。とはいっても、VISA のゴールドデビットにどんなサービスが付いているのかを良く知らないです。旅行保険やラウンジが付いてるわけではないようだし。調べてみてもよくわかりませんでした。

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カードを有効化してみました。カードの有効化は、カードに書かれている16桁のカード番号をアプリに入力すすることで行います。手で入力してもいいんですが、カメラのアイコンからわかるようにカメラを使ったカードの読み取り、そしてAndroid版ではスマホについているNFCを使ったカード情報の読み取りにも対応しています。NFCを使えば、カードをスマホNFC読み取り部分にかざすだけで勝手に番号が入力され、有効化処理ができます。すこぶる楽です。

いまのところRevolutを日本の実店舗で積極的に使うメリットがなく、決済をするにしてもGoogle PayでのEMVコンタクトレスを使うつもりなので、この実カードはあんまり出番がないと思っていますが、日本のカードとは違ったテイストのカードが手に入ったので、カードのコレクションとして大切に管理していきたいと思います。

Revolutはイギリスなどで金属製のカードも展開しており、それが日本でもリリースされたらぜひ取得してみたいです。

*1:といいつつ、Monzoもエンボス加工のようですね