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Kyash が「残高利息」サービスを開始 & 決済還元の上限変更

前の記事でも取り上げたKyashが、銀行やコンビニから入金した残高の年利1%の「利息」を付与する「残高利息」サービスを開始するようです。

https://pr.kyash.co/post/636270936590598144/20201201
pr.kyash.co

付与される利息はKyashバリューと呼ばれる出金や送金ができず決済にのみ使用できる残高となります。利息計算は毎日、付与は毎月1日に前月分が行われますが、前月に1回以上の決済を利用していることが条件となります。

合わせて決済に利用したときの還元の上限の変更が実施されます。

https://news.kyash.co/post/636270936348393472/20201201
news.kyash.co

これまでは銀行やコンビニから入金した残高 (Kyashマネーと呼ばれ、出金や送金ができる残高) で決済しても、クレジットカードやデビットカードから入金した残高 (残高利息と同じKyashバリューで、出金や送金ができない残高) で決済しても同じ還元上限でした。それが、クレジットカードやデビットカードから入金した残高での決済の場合、還元上限が引き下げられます。

見解

Kyashは資金移動業を取得し、銀行口座への出金に対応しました。現状はKyashマネーという資金移動業としての「送金を待っている滞留資金」と、Kyashバリューという資金決済法に定められる「前払式支払手段」の2つが併存している状態です。Kyashとしてはできるだけ前者の利用を促進し、後者の利用は縮小させたいという考えがあると思われます。残高利息の付与はKyashマネーの利用促進ですし、Kyashバリューの還元上限引き下げはKyashバリューの利用を減退させる効果があるでしょう。このようなことをしたい理由ははっきり断言できませんが、カード会社に払う手数料負担が重いなどが考えられると思います。実際、複数のコード決済事業者がカード経由での決済より、銀行などからチャージした残高からの支払いを優遇していたりします。年利1%が高すぎて不安という声もあるようですが、この手数料の差額で意外とまかなえるのかもしれません。Kyashはコード決済事業者のように派手なキャンペーンはやってないですし、自分で加盟店開拓もしてないので、そのへんのコストは低いはずです。

「残高利息」は法的にどうなのかが気になります。資金移動業は銀行ではないので、出資法により預り金を受け入れることができません。Kyashの利用規約にも「預金目的での利用は禁止」と明記されています。Kyashマネーは金融庁が示している以下の預り金の定義に当てはまるのでしょうか。

  1. 不特定かつ多数の者が相手であること
  2. 金銭の受け入れであること
  3. 元本の返還が約されていること
  4. 主として預け主の便宜のために金銭の価額を保管することを目的とするものであること

1から3は当てはまっているように見えます。4に当てはまるのかですが、利息の付与に「月1回の決済利用」が条件付けられているのがポイントになるのではないでしょうか。決済利用が反復的に行われているので、預け主の便宜のために金銭の価額を保管しているとは言えない、という理屈なのだと思います。金融庁的にはこの理屈でOKなのか、見解を聞かせてほしいですね。