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Marriott Bonvoy カードがついに登場

本日アメリカン・エキスプレスよりMarriott Bonvoyカードが発表されました。すでにある「スターウッドプリファードゲストアメリカン・エキスプレス・カード」(以下「SPGアメックス」とします) の後継となるカードで、数年前から登場が予測されていました。色々事情があってここまで発表が遅れたものと思われます。

今回発表されたカードは2種類で、「Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・プレミアム・カード」と「Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・カード」です (以下それぞれ「プレミアム・カード」と「通常カード」とします)。

www.americanexpress.com

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プレミアム・カード

まずはプレミアム・カードの方から見ていきましょう。後述の特典たちを見ると、こちらがSPGアメックスの直接的な後継だと思われます。

年会費

まず年会費が大幅に引き上げられます。SPGアメックスは34,100円のところ、49,500円となります。また、家族カードの年会費も17,050円から24,750円に引き上げられます。その代わりかどうかはわかりませんが、1枚目の家族カードの年会費は無料に変わりました。

ポイント付与

ポイント付与は従来どおりMarriott Bonvoyポイントで、そのレートも変わりません。Marriott系のホテルだと100円で6ポイント、普通のカード利用だと100円で3ポイントです。マイルへの交換レートも変わらないです。

カードの継続特典

SPGアメックスでは、カードを継続して年会費を払うごとに5泊分の宿泊実績と50,000ポイント分の無料宿泊特典の付与がありました。プレミアム・カードでも似たような特典があります。宿泊実績の付与は15泊分の宿泊実績に拡充されました。一方で50,000ポイント分の無料宿泊特典の付与は入会月日から毎年1年間中に150万円の決済が必要になりました。例えば6月1日にカードに入会した人は、6月1日から5月31日までの間に150万円決済しかつ年会費を支払うことで無料宿泊が付与されることになります。なお、2022年の無料宿泊特典に関しては利用実績に関係なく付与されるようです。

ステイタス付与

SPGアメックスではカードを持っているだけでMarriott Bonvoyゴールドエリートが付与される特典がありました。その特典はこのカードでもそのままです。加えて、毎年1月1日から12月31日までの間に400万円以上決済することで、Marriott Bonvoyプラチナエリートへのアップグレードが追加されました。400万円に到達してから1ヶ月以内にアップグレードが完了し、そこから12ヶ月間有効なステイタスとのことです。

連泊でのクレジット付与

ザ・リッツ・カールトンセントレジスに2連泊すると100ドル相当のクレジットが付与される特典が追加されました。

保険

スマートフォン・プロテクションが追加されました。これはアメプラなど他のアメックスのカードでも提供されているサービスで、スマートフォンの破損や水濡れ、盗難による損害を補償するものです。補償の限度額は3万円となっています。

また、これまで自動付帯となっていた海外旅行傷害保険が利用付帯に変更されます。

雑感

年会費が上昇し、これまで継続さえすれば無条件に付与されていた無料宿泊特典が150万円の決済を要するようになったので、無料宿泊特典目的で持っていた人には厳しい変更となりました。このカードをメインで使っていて150万ぐらいは決済するという人からすればあまり変わらないとみることもできますが、49,500円払って50000ポイント分の無料宿泊特典なので、無料宿泊特典で元を取る、という使い方は難しいでしょう。

継続で付与される宿泊実績が15泊に増えたり、決済金額によるプラチナエリートへの道も用意されたり、Marriott Bonvoyプラチナエリート以上がほしい人にとっては良い変更があったと思います。一方でこれだけプラチナエリートの取得方法が拡充されると、今以上にプラチナエリートの数が増えて、プラチナエリートの価値が下がってしまうんじゃないかと気になります。

連泊のクレジット付与っていうのはどうなんでしょう。対象のホテルが少ないですし、この特典を利用するには専用のプランを申し込む必要もあるということで、それなら他の予約ルートでクレジットつけてもらったほうがいいかもしれません。

(2022/2/27追記) 2/24に手持ちのSPGアメックスがこのカードと同等の機能に切り替わり、このプランで予約できるようになったので探してみましたが、専用プランは最安のオファーよりも若干高めの価格設定で、他の予約ルートと比べてもあまり魅力はないという結論に至りました。

最近のアメックスの方向性に従う形でスマートフォン・プロテクションが追加されましたが、限度額が3万というのは辛いですね。最近のスマートフォンは壊れるともっと高い修理代金が発生することも多いです。アメックス・ゴールドが5万円なので、そこにできれば合わせてほしかったです。

SPGアメックスは家族カードに何の特典もつかないので家族カードの発行メリットは薄いとされていましたが、新カードでは決済金額に応じた特典獲得条件に家族カードでの決済額も算入できるので、家族カードを発行するメリットが人によってはできました。1人で400万使うのは厳しくても、家族で400万ならいけそうという人はいるでしょう。

通常カード

もう一つの「Marriott Bonvoyアメリカン・エキスプレス・カード」も見ておきます。

年会費

年会費はSPGアメックスよりも安く、23,100円です。家族カードの年会費もSPGアメックスより安く、11,500円です。プレミアム・カードと同じく1枚目の家族カードは年会費無料です。

ポイント付与

こちらもMarriott Bonvoyポイントが付与されますが、ポイントの付与レートがプレミアム・カードより低く設定されています。Marriott系のホテルだと100円4ポイント、普通のカード利用だと100円2ポイントとなります。

カードの継続特典

カードを継続して年会費を払うごとに5泊分の宿泊実績が付与されます。SPGアメックスと同じ水準です。また年間150万円の利用で35,000ポイント分の無料宿泊特典の付与があります。プレミアム・カードよりも付与される特典の価値が若干低くなっています。なお、2022年の無料宿泊特典に関しては利用実績に関係なく付与されるようです。

ステイタス付与

カードを持つだけでMarriott Bonvoy シルバーエリートが付与されます。加えて毎年1月1日から12月31日の間に100万円決済するとゴールドエリートにアップグレードされる特典がついています。

連泊でのクレジット付与

プレミアム・カードと同じく、ザ・リッツ・カールトンセントレジスに2連泊すると100ドル相当のクレジットが付与される特典が用意されています。

保険

こちらのカードにはスマートフォン・プロテクションは付与されていません。また旅行保険の補償額もプレミアム・カードより低く設定されています。利用付帯なのは変わりません。

雑感

なかなか扱いの難しいカードだと思いました。

カードを持つだけでシルバーエリートが付与されますが、23,100円を払ってシルバーエリートを維持する価値はあまりないと感じます。シルバーエリートにもポイントの付与率がちょっとアップしたりというメリットはもちろんありますが、このメリットを享受してお釣りが出るくらいMarriott系のホテルを使っている人であれば、自力でステイタスを獲得できるのではないでしょうか。

ポイント還元率が少し下がってしまうのも残念です。SPGアメックス自体はマイラー向けのカードとして人気の側面もあったと思いますが、日常利用で100円2ポイントだとマイルに変換しても0.8%くらいの還元率になってしまいます。この還元率だと他のカードをメインで使ったほうがいいんじゃないでしょうか。

全体の感想

表にカードの特徴をまとめてみました。

SPGアメックス プレミアム・カード 通常カード
年会費 34,100円 49,500円 23,100円
家族カード年会費 17,050円 24,750円
1枚目無料
11,500円
1枚目無料
ホテルでの還元率 100円6ポイント 100円6ポイント 100円4ポイント
一般利用での還元率 100円3ポイント 100円3ポイント 100円2ポイント
継続宿泊実績付与 5泊分 15泊分 5泊分
継続無料宿泊特典 50,000ポイント分 150万以上利用で
50,000ポイント分
150万以上利用で
35,000ポイント分
ステイタス付与 ゴールドエリート ゴールドエリート シルバーエリート
利用実績
ステイタス付与
なし 400万以上利用で
プラチナエリート
100万以上利用で
ゴールドエリート
連泊クレジット付与 なし 一部ホテルで
100ドル分
一部ホテルで
100ドル分
スマートフォン
プロテクション
なし あり なし

カードデザインはSPGアメックスよりも良いと思います。ちょっと欲しくなりました。他の国ではカード番号の裏面化もされてたりしているようですが、日本で発表されたものは従来と同じくエンボス加工されたカードでした。ここは番号の裏面化をやってほしかったですね。

プレミアム・カードは、Marriott Bonvoy プラチナエリート以上を目指す人のためのカードと言えるんじゃないかなと思います。15泊の宿泊実績がつくので宿泊でのステイタス獲得も以前より容易になりましたし、とりあえず400万使えばいいというわかりやすいルートも整備されました。還元率もSPGアメックスから変わってないですから、Marriott系のホテルをよく使う、あるいはマイルがたくさん必要という人なら特に不満はないでしょう。

通常カードの方はどういう位置づけなのか私にはわかりませんでした。Marriott系のホテルをそれなりに使う人でないと活かせない特典が多いように思いますが、そういう人はプレミアム・カードを作ったほうがいいのではないでしょうか。還元率も良くなりますし、やはりプラチナエリート以上へのルートが開けているのは大きいです。

私は現在SPGアメックスを持っていますが、個人的にはSPGアメックスは無料宿泊特典発生機であり、400万円分の決済をこのカードに寄せようと思うほどプラチナエリートの取得にも興味がないので *1、今のところはカードを切り替えずにそのまま解約しようと思っています。ただ、カードオタクとして新券面を見てみたい気持ちもあるので、もう少し考えてみようとは思います。

*1:もちろん何も労せずステイタスもらえるならほしいですが