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大手キャリアの小容量プランの存在意義

(2021/2/18 追記) 「LINEMO」「ミニフィットプラン+」が発表されたので編集。

大手キャリアの料金プランの大改訂が続いています。そんな中で取り残されたような形になったのが、各キャリアが用意している小容量のプランです。細かい設定は各社違いますが、おおよそ7GB程度まで使えて使ったデータ容量に応じて料金が変化する段階制のプランになっているものです。これらの料金プランのこれからの存在意義とはなんでしょうか。具体的に以下で計算しながら考えていきたいと思います。

この記事では料金は税込で表記することにします。

docomo

ドコモは「ギガライト」および「5Gギガライト」という小容量プランを用意しています。それぞれの料金は以下のとおりです。

ギガライト (定期契約) 5Gギガライト *1
~7GB 6,578円 6,765円
~5GB 5,478円 5,665円
~3GB 4,378円 4,565円
~1GB 3,278円 3,465円

これに対して、ドコモは4月1日から新しい大容量プランの「ギガホ プレミア」および「5Gギガホ プレミア」を導入します。それぞれの料金は以下のとおりです。基本的には定額ですが、3GB以下のときは1,650円引きです。

ギガホ プレミア (定期契約) 5Gギガホ プレミア *2
~∞ - 7,315円
~60GB 7,018円 -
~3GB 5,368円 5,665円

また、オンライン専用の料金プランとして「ahamo」も導入されます。こちらは20GBで3,278円です。

これらの料金プランをすべて合わせると以下のとおりです。

ギガライト
(定期契約)
5Gギガライト ahamo ギガホ プレミア
(定期契約)
5Gギガホ
プレミア
~∞ - - - - 7,315円
~60GB - - - 7,018円 7,315円
~20GB - - 3,278円 7,018円 7,315円
~7GB 6,578円 6,765円 3,278円 7,018円 7,315円
~5GB 5,478円 5,665円 3,278円 7,018円 7,315円
~3GB 4,378円 4,565円 3,278円 5,368円 5,665円
~1GB 3,278円 3,465円 3,278円 5,368円 5,665円

まず「ahamo」を除外して考えると、ドコモのプランは「ギガライト」や「5Gギガライト」が設定されている7GBまでの範囲だと「ギガライト」や「5Gギガライト」のほうが安くなるような値付けになっています。しかしここに「ahamo」を加えると、20GB以下の範囲では「ahamo」が最安で、それを超える範囲では「ギガホ プレミア」か「5Gギガホ プレミア」しかなくなり、「ギガライト」や「5Gギガライト」の出る幕はなくなってしまいます。

状況をややこしくするのが、「ahamo」以外は家族割や固定回線とのセット割が使えるという事実です。それぞれの割引を最大限に適用した場合の料金を考えると以下のとおりです。具体的な条件は、家族にドコモ回線が3回線以上かつドコモ光を契約しているケースです。

ギガライト
(定期契約)
5Gギガライト ahamo ギガホ プレミア
(定期契約)
5Gギガホ
プレミア
~∞ - - - - 5,115円
~60GB - - - 4,818円 5,115円
~20GB - - 3,278円 4,818円 5,115円
~7GB 4,378円 4,565円 3,278円 4,818円 5,115円
~5GB 3,278円 3,465円 3,278円 4,818円 5,115円
~3GB 2,728円 2,915円 3,278円 3,168円 3,465円
~1GB 2,178円 2,365円 3,278円 3,168円 3,465円

こうすると、3GB以下までは「ギガライト」および「5Gギガライト」が最安で、3GBを超えて20GB以下だと「ahamo」が良く、20GBを超えるなら「ギガホ プレミア」「5Gギガホ プレミア」が良いということになり、「ギガライト」や「5Gギガライト」に存在意義が出てくるようです。

au

auは「ピタットプラン 4G LTE」および「ピタットプラン 5G」という小容量プランを用意しています。どちらのプランも同じ料金設定です。

ピタットプラン 4G LTE/5G (定期契約)
~7GB 6,578円
~4GB 4,928円
~1GB 3,278円

これに対して、auは3月から新しい大容量プランの「使い放題MAX 4G/5G」を導入します。料金は以下のとおりです。基本的には定額ですが、3GB以下のときは1,650円引きです。

使い放題MAX 4G/5G (定期契約)
~∞ 7,238円
~3GB 5,588円

また、オンライン専用の料金プランとして「povo」も導入されます。こちらは20GBで2,728円です。

これらの料金プランをすべて合わせると以下のとおりです。

ピタットプラン
(定期契約)
povo 使い放題MAX
(定期契約)
~∞ - - 7,238円
~20GB - 2,728円 7,238円
~7GB 6,578円 2,728円 7,238円
~4GB 4,928円 2,728円 7,238円
~3GB 4,928円 2,728円 5,588円
~1GB 3,278円 2,728円 5,588円

まず「povo」を除外して考えると、auのプランは「ピタットプラン」が設定されている7GBまでの範囲だと「ピタットプラン」のほうが安くなるような値付けになっています。しかしここに「povo」を加えると、20GB以下の範囲では「povo」が最安で、それを超える範囲では「使い放題MAX」しかなくなり、「ピタットプラン」の出る幕はなくなってしまいます。ここはドコモと同じです。

「povo」以外は家族割や固定回線とのセット割が使えます。それぞれの割引を最大限に適用した場合の料金を考えると以下のとおりです。具体的な条件は、家族にau回線が3回線以上かつau指定の固定回線を契約している場合です。

ピタットプラン
(定期契約)
povo 使い放題MAX
(定期契約)
~∞ - - 5,038円
~20GB - 2,728円 5,038円
~7GB 4,928円 2,728円 5,038円
~4GB 3,278円 2,728円 5,038円
~3GB 3,278円 2,728円 3,388円
~1GB 2,178円 2,728円 3,388円

こうすると、1GB以下までは「ピタットプラン」が最安で、1GBを超えて20GB以下だと「povo」が良く、20GBを超えるなら「使い放題MAX」が良いということになり、「ピタットプラン」に存在意義が出てきます。

SoftBank

SoftBankは「ミニフィットプラン+」という小容量プランを導入予定です。料金設定は以下のとおりです。

ミニフィットプラン+
~3GB 5,478円
~2GB 4,378円
~1GB 3,278円

これに対して、同日に「メリハリ無制限」も導入されます。料金は以下のとおりです。基本的には定額ですが、3GB以下のときは1,650円引きです。

メリハリ無制限
~∞ 7,238円
~3GB 5,588円

また、オンライン専用の料金プランとして「LINEMO」も導入されます。こちらは20GBで2,728円です。

これらの料金プランをすべて合わせると以下のとおりです。

ミニフィットプラン+ LINEMO メリハリ無制限
~∞ - - 7,238円
~20GB - 2,728円 7,238円
~3GB 5,478円 2,728円 5,588円
~2GB 4,378円 2,728円 5,588円
~1GB 3,278円 2,728円 5,588円

まず「LINEMO」を除外して考えると、SoftBankのプランは3GB以下の場合「ミニフィットプラン+」の方が安いという値付けになっています。しかしここに「LINEMO」を加えると、20GB以下の範囲では「LINEMO」が最安で、それを超える範囲では「メリハリ無制限」しかなくなり、「ミニフィットプラン+」の出る幕はなくなってしまいます。

「LINEMO」以外は家族割や固定回線とのセット割が使えます。それぞれの割引を最大限に適用した場合の料金を考えると以下のとおりです。具体的な条件は、家族にSoftBank回線が3回線以上 *3かつSoftBank指定の固定回線を契約している場合です。

ミニフィットプラン+ LINEMO メリハリ無制限
~∞ - - 4,928円
~20GB - 2,728円 4,928円
~3GB 4,328円 2,728円 3,278円
~2GB 3,278円 2,728円 3,278円
~1GB 2,178円 2,728円 3,278円

こうすると、1GB以下は「ミニフィットプラン+」、1GBを超えて20GBまでなら「LINEMO」、20GBをこえるなら「メリハリ無制限」という形になります。

まとめ

ドコモは

  • 20GB以下なら「ahamo」最安
    • 「ahamo」が嫌なら、7GB以下は「ギガライト」系
  • 割引が最大限適用できるなら3GB以下で「ギガライト」系が最安。3GBを超えて20GB以下なら「ahamo」が最安

au

  • 20GB以下なら「povo」最安
    • 「povo」が嫌なら、7GB以下は「ピタットプラン」
  • 割引が最大限適用できるなら1GB以下で「ピタットプラン」が最安。1GBを超えて20GB以下なら「povo」が最安

SoftBank

  • 20GB以下なら「LINEMO」最安
    • SoftBank on LINE」が嫌なら、3GB以下は「ミニフィットプラン+」
  • 割引が最大限適用できるなら1GB以下で「ミニフィットプラン+」が最安

という形となりました。各社が提供するオンライン専用プランに抵抗がないのであれば、これを選ぶのが最適解となります。とは言え、家族割や固定回線セット割を最大限適用できる場合、小容量プランが最安になるケースもあります。しかしこのケースの広さには各社の差があり、ドコモは3GB以下、auSoftBankでは1GBという結果でした。これは各社の客層を反映しているのだろうと思います。ドコモは小容量ユーザーが多く、auSoftBankは比較的に大容量ユーザーが多いということが、総務省の統計でもわかっています。

ところで、このような小容量プランだとMVNOやサブブランドも選択肢に入ってきます。例えば大手MVNOブランドのmineoは、2月より「マイピタ」という新プランを開始しますが、こちらは5GBで1,518円です。大手キャリア各社で最大限の割引を適用してもこの価格にはできませんし、数GB程度のライトユーザーであれば、大手キャリアに比べると劣るとされているMVNOの回線品質でも特に支障がないのではとも考えられます。

また、auのサブブランドであるUQ mobileは、3GBで1,628円の「くりこしプランS」を2月1日から開始します。こちらも大手キャリア各社で最大限の割引を適用した価格より安いですし、UQ mobileの回線品質には定評があるので、回線品質を気にする人でも使いやすいと思います。auのサブブランドなので、auからの乗り換えの場合は手数料もかかりません。

もともと大手キャリアの小容量プランは、総務省から「小容量の価格が高い」という指導を受けて仕方なしに作られたという経緯があります。比較的小容量ユーザーに優しいドコモも、今後はMVNOと提携して小容量低価格プランを提供していくと表明していますし、auSoftBankは小容量ユーザー向けに傘下のサブブランドであるUQ mobileやワイモバイルを積極的に訴求しています。各社はメインのブランドで儲からないこれらのプランをできるだけ契約してほしくないわけで、今後は小容量についてはMVNOやサブブランドをお使いくださいという流れが進むのではないでしょうか。

*1:「5Gギガライト」は定期契約による割引がありません

*2:「5Gギガホ プレミア」は定期契約による割引がありません

*3:ミニフィットプラン+は家族割非適用