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楽天モバイルが新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」を発表

大手キャリアによる料金プラン大改訂が続く中、新興勢力の楽天モバイルがどのような動きを見せるかが注目されていましたが、「Rakuten UN-LIMIT VI」を4月1日から開始することを発表しました。

「Rakuten UN-LIMIT VI」は基本的に従来プランと似たプランなのですが、従来プランが容量無制限で3,278円という定額プランだったのに対して、段階制プランに変更されたのが大きな点です。

価格
~∞ 3,278円
~20GB 2,178円
~3GB 1,078円
~1GB 0円

なんと言っても強烈なのは、1GBまでは0円という設定でしょう。一人あたり1回線までに制限されていますが、一定のデータ容量までなら0円というのはインパクトがあります。3GBまでの価格設定はMVNOを、20GBまでの価格設定はドコモ・auSoftBankが投入したオンライン専用プランを意識したものでしょう。20GB超過後3,278円という設定は従来のプランと同等であり、小容量帯での値下げが行われた格好になります。

楽天の電波が入らないエリアではauの電波を掴むという仕組みはこれまでと変わらず。auで通信する場合のデータ容量は5GBに制限されているというのもこれまでと変わりません。料金を決定する際のデータ通信量は楽天au両方のものが合算されます。注意点として、楽天モバイルではデータ高速モードというものが用意されていて、これをオフにするとau回線エリアで通信速度が1Mbpsに制限される代わりにauで通信する場合のデータ容量を消費しなくなるのですが、「Rakuten UN-LIMIT VI」のデータ通信量の計算には影響しません。つまり、データ高速モードをオフにしていても、1GB以上使えば1,078円課金されます。

既存のユーザーに対しては4月1日から自動的にこのプランが適用されることになります。

懸念点も残るが

「Rakuten UN-LIMIT VI」は、いわゆる無制限プランの中では最安ですし、Rakuten Linkを使えば通話が無料という点を従来プランから引き継いでいます。事務手数料の類がすべて0円なのも大変うれしいポイントです。

楽天モバイルが目指していたシンプルなプランという方針からは転換することになりました。三木谷氏も発表会で発言していましたが、シンプルなプランではすべての人にとって最適なプランにはできなかったという結果だと思います。少ししか使わない人とたくさん使う人が同時に幸せになるには、やはりプランは多少複雑にならざるを得ないのでしょう。とはいえ、かなり注意書きの多いプランになっているので、某総務大臣が怒り出さないかが気になっています。

楽天モバイルには頑張ってほしいと思っていますが、サービスとしての懸念点が残っているのも事実です。まず、楽天回線が使えるエリアが広がっていないという点があります。発表会では現在の人口カバー率が73.5%であること、また今夏には96%にまで広がることが明かされました。しかし、他の3社がすでに99%を上回る人口カバー率を達成している以上、まだ見劣りする数値と言わざるを得ません。人口カバー率においてカバーされていることになっている地域でも、屋内や地下鉄などでは入らないことも多く、体感のカバー率は高いと言えません。2023年に人工衛星を使ったスペースモバイルというものを計画しているようですが、これもどの程度使えるものなのかは不明です。5Gのエリアも全く広がっている様子がなく、やはり心配です。

また、他社のオンライン専用プランを引き合いに出し、楽天モバイルのプランは店舗でもサポートできるのが強みだと打ち出していましたが、楽天モバイルの店舗は他社に比べて数が少ないので、これを以てサポートの充実を訴えるのは厳しいのではと思います。サポートのために店舗を増やすとコストが明らかに増大するので、そこは難しいバランスとなりそうです。

楽天の他サービスとのシナジーも今ひとつ感じられません。楽天モバイルを契約すると楽天市場利用時のポイント加算率が+1倍になりますが、これだと訴求としては弱いように思います。楽天プレミアム契約すれば+2倍ですからね。

他サービスとの競合関係に目を転じると、今回の楽天のプランで大手キャリアのサブブランドが苦しくなりそうです。UQ mobileは2月から3GBで1,628円の「くりこしプランS」を開始しますが、楽天モバイルは3GBで1,078円。しかも1GB未満に収まれば0円です。楽天モバイル楽天回線が入らなくてもau回線が使えるので、回線品質の面で見ても大きく見劣りはしません。3GBならau回線のデータ容量の上限である5GBより少ないので、すべてau回線経由で使っても問題ありませんので、まだ楽天回線が来ていないエリアの人でも使えます。同様に小容量帯のMVNOも厳しくなりそうです。

各社料金プランの大改訂は発表されているだけで、実際に開始されているわけではありません。もう少し波があるのではないかという気もするので、引き続き注意深く見ていきたいと思います。