iPhone SE は Apple と 携帯電話会社どちらから買ったほうが良い?
(2020年4月20日: auの価格が発表されたので追記。SoftBankの保証プランの価格が間違っていたので修正)
長らく噂されていた廉価版の iPhone である iPhone SE の第2世代がついに発表されました。iPhone 5s をベースとした前世代に対して、今回は iPhone 8 をモデルにしたと思われる外観。カメラはその分最新モデルの iPhone 11 や 11 Pro に比べて抑えられたスペックとなっていますが、内部のチップは 11 と同等で、Wi-Fi 6 や eSIM にも対応するなど、多くのスペック面では最新モデル相当です。いわゆる「コスパが高い」モデルと言えるわけですが、それゆえに少しでも安く買いたいという人が多いのではないでしょうか。
iPhone SE を購入できるルートはいくつかありますが、大きく分けると以下の2つに集約されると思います。
前者は Apple から端末だけを購入するルートです。回線契約は関係ないので、iPhone を利用するための回線は別途必要となります。 後者はいわゆる大手携帯電話会社から MNP か新規契約、機種変更の手続きをして端末を購入するルートです。おそらく大手携帯電話会社を利用している人の多くのスマートフォン端末の購入はこちらのルートで行われていると思います。
それぞれのルートで一体いくらになって、どちらがお得なのかを考えてみることにしました。なお今回はいわゆる「格安SIM」を使っている人は対象外とします。この場合 Apple からの直接購入しか選択肢がないはずなので。
Apple からの購入
Apple から端末を購入する際の価格は、Apple の公式サイトに書かれています。税抜価格で書かれてますが、比較のため税込価格に変換しました。
容量 | 価格 |
---|---|
64GB | 49,280円 |
128GB | 54,780円 |
256GB | 66,880円 |
端末の代金の支払方法としては、通常の一括での購入以外に、Apple ローンという分割払いも使えます。現在分割払いは24回払いまで金利手数料が無料なので、これを使って24回払いにすると、以下の価格となります。
容量 | 価格 |
---|---|
64GB | 2,053円 |
128GB | 2,283円 |
256GB | 2,787円 |
これに AppleCare+ という保証をつけることができます。盗難・紛失プランは昨年できた新しいオプションで、従来の AppleCare+ が対応していなかった、盗難・紛失時の保証も追加されています。
保証プラン | 価格 |
---|---|
AppleCare+ | 9,680円 |
AppleCare+ 盗難・紛失プラン | 11,880円 |
docomo からの購入
続いて docomo からの購入を考えます。docomo は MNP の場合のみ端末の割引があるので、それも併記しました。
容量 | 価格 | MNP時の価格 |
---|---|---|
64GB | 57,024円 | 35,024円 |
128GB | 62,568円 | 40,568円 |
256GB | 75,240円 | 53,240円 |
端末の代金の支払方法としては、一括・12回払い・24回払い・36回払いを選択できます。このうち36回払いを選択すると、スマホおかえしプログラムというものに加入できます。これは、端末を docomo に返却することで最大で12回分の分割払いが免除されるというものです。これが最大限適用されると、価格は以下のようになります。
容量 | スマホおかえしプログラム適用価格 | MNP かつスマホおかえしプログラム適用価格 |
---|---|---|
64GB | 38,016円 | 23,360円 |
128GB | 41,712円 | 27,056円 |
256GB | 50,160円 | 35,504円 |
docomo では、AppleCare+ の他にケータイ補償サービスという保証プランも用意されています。ケータイ補償サービスは、AppleCare+ 盗難・紛失プランに相当するもので、盗難・紛失時の保証も入っているものです。AppleCare+ は24回の分割プランのみが用意されています。今回の iPhone SE 向けの AppleCare+ の価格はまだ発表されていませんが、9,680円の24回払いなので、400円程度になると予想されます。ケータイ補償サービスの料金も発表されていないですが、前例を踏まえるとおそらく550円か825円になると思われます。
保証プラン | 月額の価格 |
---|---|
AppleCare+ | 400円程度? |
ケータイ補償サービス | 550円か825円? |
SoftBank からの購入
今度は SoftBank からの購入を考えます。SoftBank はオンラインショップでの MNP の場合のみ端末の割引があるので、それも併記します。
容量 | 価格 | オンラインでの MNP時の価格 |
---|---|---|
64GB | 57,600円 | 36,000円 |
128GB | 64,080円 | 42,480円 |
256GB | 78,480円 | 56,880円 |
端末の代金の支払方法としては、一括・24回払い・48回払いを選択できます。このうち48回払いを選択すると、トクするサポートというものに加入できます。これは、端末を SoftBank に返却かつ対象の新機種を購入することで最大で24回分の分割払いが免除されるというものです。これが最大限適用されると、価格は以下のようになります。なお、これに加入するには390円の利用料を24ヶ月支払う必要があります。
容量 | トクするサポート適用価格 | MNP かつトクするサポート適用価格 |
---|---|---|
64GB | 28,800円 | 18,000円 |
128GB | 32,040円 | 21,240円 |
256GB | 39,240円 | 28,440円 |
SoftBank は現在 AppleCare+ の受付を行っていないので、あんしん保証パック with AppleCare Services という保証プランに加入することになります。こちらは AppleCare+ 盗難・紛失プラン相当の保証に更に追加のサービスが付与されたものになっています。こちらの価格はまだ発表されていませんが、前例に倣えば979円になると予想されます。
保証プラン | 月額の価格 |
---|---|
あんしん保証パック with AppleCare Services | 979円? |
au からの購入
最後に au からの購入を考えます。オンラインでの MNP 及び新規契約で割引キャンペーンをやっています。
容量 | 価格 | オンラインでのMNP時価格 | オンラインでの新規契約時価格 |
---|---|---|---|
64GB | 55,270円 | 33,270円 | 44,270円 |
128GB | 61,250円 | 39,250円 | 50,250円 |
256GB | 75,215円 | 53,215円 | 64,215円 |
端末の代金の支払方法としては、一括と分割払いを選択できますが、このうち24回払いを選択すると、かえトクプログラムというものに加入できます。かえトクプログラムに加入した際の分割契約はちょっと変わったものになります。最初から数えて23回と最後の1回の支払額が変わります。
容量 | 分割金額 (最後の1回を除く) | 最後の1回の分割金額 |
---|---|---|
64GB | 1.250円 | 26,520円 |
128GB | 1,390円 | 29,280円 |
256GB | 1,705円 | 36,000円 |
そして、最後の分割の支払いまでに新しい機種に機種変更かつ古い端末をauに返却したとき、最後の分割の支払いが免除されるという仕組みになっています。
これだと2年以上使おうとした際に2年目に高額の支払いが来ることになりますが、かえトクプログラムの権利を使わなかった際は、au 回線を持っているなど所定の条件を満たしていれば、自動的にこの最後の分割が再度24回分割されます。つまりトータルで48回払いになるということですね。
このかえトクプログラムを最大限に活用すると、価格は以下のようになります。
容量 | かえトクプログラム適用価格 |
---|---|
64GB | 28,750円 |
128GB | 31,970円 |
256GB | 39,215円 |
auは現在 AppleCare+ の受付を行っていないので、故障紛失サポート with AppleCare Services & iCloudストレージ という保証プランに加入することになります。こちらは AppleCare+ 盗難・紛失プラン相当の保証に更にiCloudストレージ50GB分などの追加のサービスが付与されたものになっています。こちらの価格は869円となります。
保証プラン | 月額の価格 |
---|---|
故障紛失サポート with AppleCare Services & iCloudストレージ | 869円 |
まとめて比較
端末価格の比較
では実際に比較してみることにします。まず、それぞれのルートで一括購入した際の価格を並べてみます。
容量 | Apple | docomo | SoftBank | au |
---|---|---|---|---|
64GB | 49,280円 | 57,024円 | 57,600円 | 55,270円 |
128GB | 54,780円 | 62,568円 | 64,080円 | 61,250円 |
256GB | 66,880円 | 75,240円 | 78,480円 | 75,215円 |
一括購入の場合は Apple が最安です。
しかし、携帯電話会社には先ほど紹介したとおり、スマホおかえしプログラムやトクするサポート、かえトクプログラムという、端末の返却を条件として分割支払を免除するプランがあります。これを使ってみることにしましょう。Apple から購入の際は24回分割払い、docomo から購入の際は36回分割払いで2年後にスマホおかえしプログラム適用、SoftBank から購入の際は48回分割払いで2年後にトクするサポート適用、au から購入の際は24回分割払いで2年後にかえトクプログラム適用とします。SoftBank の価格には、トクするサポートの利用料390円も公平のために加えることにします。
まずは月額の分割価格です。
容量 | Apple で24回払いの月額 | docomo で36回払いの月額 | SoftBank で48回払いの月額 | au で24回払の月額 |
---|---|---|---|---|
64GB | 2,053円 | 1,584円 | 1,590円 (25ヶ月目から 1,200円) | 1,250円 |
128GB | 2,283円 | 1,738円 | 1,725円 (25ヶ月目から 1,335円 ) | 1,390円 |
256GB | 2,787円 | 2,090円 | 2,025円 (25ヶ月目から 1,635円) | 1,705円 |
各種プログラムを適用してみます。
容量 | Apple での総支払額 | docomo で2年後にスマホおかえしプログラム適用時の総支払額 | SoftBank で2年後にトクするサポート適用時の総支払額 | au で2年後にかえトクプログラム適用時の総支払額 |
---|---|---|---|---|
64GB | 49,280円 | 38,016円 | 38,160円 | 28,750円 |
128GB | 54,780円 | 41,712円 | 41,400円 | 31,970円 |
256GB | 66,880円 | 50,160円 | 48,600円 | 39,215円 |
このケースでは最大で docomo だと16,000円ほど、SoftBank だと18,000円ほど、auだと21,000円ほど安くなることがわかりました。しかし、これは docomo の場合端末の返却、SoftBank と au の場合加えて新端末の購入が条件となっていることを覚えておく必要があります。また、Apple での直接購入の場合も、次の機種を購入する際の下取りや、メルカリやヤフオクなどでの販売を使えば実質負担額は抑えられると考えられます。Apple 製品は時間が経ってもそれなりの価格で買ってもらえます。
それでは、3年使って買い換えるケースを考えましょう。
容量 | Apple での総支払額 | docomo で3年後の総支払額 | SoftBank で3年後にトクするサポート適用時の総支払額 | au で3年後の総支払額 |
---|---|---|---|---|
64GB | 49,280円 | 57,024円 | 52,560円 | 42,010円 |
128GB | 54,780円 | 62,568円 | 57,420円 | 46,610円 |
256GB | 66,880円 | 75,240円 | 68,220円 | 57,215円 |
docomo は、36回払いなのでもはやスマホおかえしプログラムは適用できません。SoftBank では12回分の分割免除を受けられますが、Apple での直接購入よりも割高になってしまいました。au では12回分の免除を受けられ、かつまだ Apple っで買うより安いです。 3年使う人は Apple で買うのがベター、au の人は次も au で機種変更するなら au もアリということになります。
保証の比較
続いて保証を比較しましょう。Apple から販売されている AppleCare+ は一括購入しかありませんが、保証期間が2年なので購入価格を24で割ったものを月額相当価格とみなして比較することにします。
保証プラン | 月額相当価格 | 保証期間 | 故障修理時負担金 | 盗難・紛失時負担金 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
Apple の AppleCare+ | 403円 | 2年間 | 画面割れ3,740円 その他12,980円 | 対応不可 | |
Apple の AppleCare+ 盗難・紛失プラン | 495円 | 2年間 | 画面割れ3,740円 その他12,980円 | 12,980円 | |
docomo の AppleCare+ | 403円? | 2年間 | 画面割れ3,740円 その他12,980円 | 対応不可 | |
docomo ケータイ補償サービス | 550円 or 825円? | 契約続ける限り | 5,500円 | 8,250円 or 12,100円 (Web申込みで10%オフ) | |
SoftBank あんしん保証パック with AppleCare Services | 979円 | 契約続ける限り | 画面割れ3,740円 その他12,980円 PayPayボーナスで全額返金 | 12,980円 | |
au 故障紛失サポート with AppleCare Services & iCloudストレージ | 869円 | 4年間 | 画面割れ3,740円 その他12,980円 | 12,980円 | iCloud50GB付き |
AppleCare+ は2年間しか保証がついていないのが痛いですね。アメリカでは月額プランもあって、これは加入し続ける限り保証が継続されるのですが、日本では未導入のようです。携帯電話会社のサービスは長く保証が続くのが魅力ですし、内容も AppleCare+ に比較して手厚いですが、やや割高になっています。AppleCare+ 盗難・紛失プランと携帯電話会社の保証サービスを比べると、2年間でだいたい8,000円~9,000円くらいの価格差があります。
- Apple から直接購入したほうが端末を割安に買えるが、保証は2年間しか受けられない
- 携帯電話会社から購入すると長く保証を受けられるが、端末は特に長く使おうとするほど割高になる傾向
というのが見えてきました。
MNP をするケース
ちなみに MNP をする場合は2万円以上の携帯電話会社の割引が受けられるので、2年使う場合も3年使う場合も携帯電話会社から買うのがお得です。
容量 | Apple での総支払額 | docomo で2年後にスマホおかえしプログラム適用時の総支払額 | SoftBank で2年後にトクするサポート適用時の総支払額 | auで2年後にかえトクプログラム適用時の総支払額 |
---|---|---|---|---|
64GB | 49,280円 | 23,360円 | 27,360円 | 6,750円 |
128GB | 54,780円 | 27,056円 | 30,600円 | 9,970円 |
256GB | 66,880円 | 35,504円 | 37,800円 | 17,215円 |
容量 | Apple での総支払額 | docomo で3年後の総支払額 | SoftBank で3年後にトクするサポート適用時の総支払額 | au で3年後にかえトクプログラム適用時の総支払額 |
---|---|---|---|---|
64GB | 49,280円 | 35,024円 | 36,360円 | 22,010円 |
128GB | 54,780円 | 40,568円 | 41,220円 | 24,610円 |
256GB | 66,880円 | 53,240円 | 52,020円 | 35,215円 |
結論
- MNP をするならば、携帯電話会社から買うのがお得
- そうでない場合は
- 2年で買い換える場合は携帯電話会社のプログラムに乗るのもあり
- 3年で買い換える場合は Apple から買うのが端末自体はお得。ただし保証が2年で切れるので注意
余談ですが、SoftBank はちょっとひどくないですかね。au と同じく端末返却と新端末購入を条件にしているのに、端末返却のみが条件の docomo と実質価格変わらないです。保証も負担金が返ってくるのはありがたいですが、PayPayで返ってくるので体の良い囲い込みですよね……。