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疑問詞 "why" といえば

この記事は、whywaita Advent Calendar 2018 - Adventar 8日目 の記事です。昨日は id:icchyr さんの whywaita Advent Calendar 7日目の記事です - 雑記 でした。

id:hogashi さんも Advent Calendar の記事中で言及されていましたが、whywaita くんというと、英単語の "why" のことを思い出す人も多いでしょう。私は今に至るまで「なぜ why という名前なのだろう?」という疑問を抱きつづけています。

ここいらでせっかくの機会ですし、"why" という単語についてちょっと考えてみましょう。why は英語の疑問詞の1つですが、思えば疑問詞と言われる単語はだいたいみんな wh- から始まります。what, who, when, where などなど……。かと思えば、一つだけ仲間はずれのやつがありますね。how です。今日はこのあたりの小ネタを紹介したいと思います。

英語の歴史をずっとたどっていくと、だいたい5世紀から12世紀ぐらいまでの間に使われていた古英語という言語にいきつきます。この古英語を見ていると、実は疑問詞のうちいくつかはもともと一つの単語 hwā *1 だったことがわかります。古英語は、今の英語よりはるかに単語の変化という意味では複雑で、性の区別がありましたし、格も主格 (いわゆる主語になるもの)・対格 (直接目的語になるもの)・属格 (所有を表すもの)・与格 (間接目的を表すもの)・具格 (手段を表すもの) の5つがありました。単語 hwā の格変化を示した表が以下の表です。

男性 女性 中性
主格 hwā hwā hwæt
対格 hwone, hwæne hwone, hwæne hwæt
属格 hwæs hwæs hwæs
与格 hwām, hwǣm hwām, hwǣm hwām, hwǣm
具格 hwȳ, hwon hwȳ, hwon hwȳ, hwon

男性・女性の主格だった hwā が who、中性の主格だった hwæt が what、属格の hwæs が whose、与格の hwām, hwǣm が whom、具格の hwȳ が why になったのです。who, what, whose, whom, why はもとも同じ単語だったんですね。

もともと古英語では hw- と綴っていたものが、一体どうして wh- とひっくり返ったのかという疑問も出てくるかもしれません。これについては、よく理由がわかってないようです。本を読んでいると、「見た目が wh- のほうがいいから」みたいな、「本当か?」と思うような理由が説明されていたりもします。他には、12世紀ごろにフランス語の綴り方の影響を受けたものという説もあるようです (例えばこの一例として、hlaf という単語の "h" が脱落して loaf と変化した例があります) 。

how だけ wh- で始まらない理由は、この綴りの入れ替わり現象から説明されます。 how は、hwā ファミリーとは別の hwū という単語だったのですが、古英語も後期の方になると w が抜け落ちて、hū と綴られるようになっていたのです。ū は、「ウー」みたいな音なので、w と ū を連続して発音すると w のほうが曖昧になってしまうという理由があったのでしょう。結果として、そもそも入れ替わり対象となる hw- という綴りが存在せず、この現象の影響を受けなかったと言われています。

ある単語に hw- をつけることで、他の疑問詞の語源を探ることもできます。 例えば古英語の þonne (今の then にあたる単語) に hw- をつけると hwonne という単語になりますが、これが歴史を下ると when となります。なんとなく似てますよね。同じく、古英語の þær (今の there にあたる単語)に hw- をつけると、hwær となって、これは今の where です。here, where, there と場所に関する英単語に -ere という共通した語尾を持っているのも、もともとの語源をたどると同じところに行き着くからなのでしょう。

つまり、whywaita は文章中で使用する際、格変化させて whatwaita とか whowaita とかにするのが古英語的には正しいのです。しかし、 whenwaita とか wherewaita とするのは、もともとから別の単語なので適切ではありません。

明日は otofune さんの予定です。

*1:「ホワー」みたいに読むようです