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ANAプレミアムクラスとJAL国内線ファーストクラスを乗り比べた

今月は東京と大阪を移動することが何度かありました。私は基本的に飛行機派なので、東京大阪間を移動する際も飛行機を使います。その際にたまたまチャンスに恵まれましたので、日本を代表する航空会社ANAJALを乗り比べてみることにしました。

比較条件

今回比較するのは、ANAJALがそれぞれ国内線で提供している最上クラスのANAプレミアムクラス」JALファーストクラス」とします。普通席だとそれほど目立った差があるとは思えないので、奮発して両者のフラグシップクラスに搭乗してみようというわけです。体は一つしかないので、厳密に全く同じタイミングで飛んでいるANAの便とJALの便両方に搭乗することはできません。なので、東京から大阪に向かう際にANAプレミアムクラス、大阪から東京に向かう際にJALファーストクラスを利用するようにしました。便の時間帯は、後述する機内食の条件を合わせるために、どちらも夕方から夜の時間帯に飛ぶ便にしました。

料金

今回、ANAは特典航空券で搭乗し、事前アップグレードという制度を使ってプレミアムクラスへのアップグレードを行いました。事前アップグレードとは、ANAのマイル会員限定で搭乗の2日前からプレミアムクラスへのアップグレードができるという制度です。事前アップグレードだとアップグレードに必要な料金も少し安く設定されています。あらかじめプレミアムクラスに乗れるかどうかがはっきりした状態で空港に向かえるので、これは良い制度だと思います。

一方、JALは事前アップグレードに相当する制度が用意されておらず、当日空港に行ってみないとアップグレードできるかはわかりません。しかし、羽田-伊丹線の場合は結構空いていて当日アップグレードも問題なくできることが多いようです。

アップグレード料金ですが、ANAが10,000円で、JALが8,000円です。JALのほうが2,000円安いので若干お得感があります。

路線

本筋からは外れますが、ANAプレミアムクラスとJALファーストクラスの大きな違いとして、設定路線数の違いがあります。ANAプレミアムクラスは設定路線がかなり多く、地方路線にも設定があったりします。席数も多めです。一方で、JALファーストクラスは、羽田-伊丹線、羽田-福岡線、羽田-新千歳線、羽田-那覇線にしか設定がありません。さらに、羽田-那覇線にはファーストクラスの設定がない便も多く存在しています。

この設定路線数の大きな差が、両者のサービスの内容に差をもたらしています。この点は後述します。

チェックインから保安検査通過まで

ANAプレミアムクラスでは、空港到着時から普通席のお客さんとは違う待遇を受けられます。本来であればANAプラチナ会員以上でないと利用できないANA PREMIUM CHECK-IN」を利用できます。これはANAプラチナ会員以上の会員のために用意された、専用のチェックインカウンターと保安検査場の総称です。ANAでは自動荷物預け機が導入されてチェックインや手荷物預けで混み合うことは少なくなったものの、保安検査場はしばしば混雑しているようです。

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この日はさほど混んでなかったが、3連休などは長い列ができる

しかし、このANA PREMIUM CHECK-INの専用保安検査場はほとんど人がおらず、スムースに通過できました。

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ANA PREMIUM CHECK-INの入り口

一方のJALファーストクラスでも、同じように専用のチェックインカウンターと保安検査場を利用することができます。JALファーストクラスの特徴として、JALの最上級会員であるJGCプレミアおよびダイヤモンド会員のみ利用が許されているJALファーストクラスカウンター」および「ダイヤモンド・プレミア専用保安検査場」が利用できるという点があります。ANAの方にも同じように最上級会員のダイヤモンド会員のみが利用できる「ANA SUITE CHECK-IN」が存在しますが、こちらはプレミアムクラスでは利用できません。これは、JALのほうが設定路線数が少なく、ファーストクラス搭乗客向けに開放してもキャパシティの問題が生じないからだと思われます。

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左にあるのがJALファーストクラスカウンター。見てのとおりガラガラである

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ダイヤモンド・プレミア専用保安検査場。ANA PREMIUM CHECK-IN以上にガラガラだった

ラウンジ

ANAJALともに、ラウンジ利用の権利がサービスされています。ここでもやはり両者に差がありました。ANAの場合はスタンダードなラウンジであるANAラウンジ」の利用権が付与されますが、JALの場合は最上級会員向けの「ダイヤモンド・プレミアラウンジ」の利用権が付与されます。

両者の差は、ダイヤモンド・プレミアラウンジだと味噌汁やスープ、おにぎりやパンなどの軽食が食べられるという点でしょうか。どちらのラウンジでもソフトドリンクやアルコール、おつまみのお菓子程度は提供されています。

ラウンジ内の写真を撮るのはちょっと難しいので写真はないですが、ANAラウンジは広いものの人が多く、混み合った印象でした。一方のJALダイヤモンド・プレミアラウンジは、面積が狭めで人の数はそれほど多くないものの混み合った印象があるものでした。ANAラウンジのほうが照明が明るく、調度品もモダンなもので揃えられているのに対して、JALは照明が暗めで、調度品もナチュラルなテイストでした。両者のラウンジに対する考え方が対照的であることがわかりますね。

一つ残念だったのが、伊丹空港の工事の関係で、ダイヤモンド・プレミア専用保安検査場の出口から、ダイヤモンド・プレミアラウンジの入口まで相当な距離を歩かないといけなくなっていたことでしょうか。ANAだと保安検査場からラウンジまで直結になるように設計されてたりするので、この差は大きいです。

搭乗

ANAJALともに、優先搭乗がサービスとして用意されています。ここでもやはりANAJALはこれまでと同様の差があり、ANAはダイヤモンド会員が搭乗後の2番目に搭乗できるのに対して、JALはダイヤモンド会員などと並んで最初に搭乗できます。

もっとも優先搭乗については必要ないという人も多いでしょうし、羽田-伊丹線は上級会員が多すぎて優先搭乗が意味をなしていませんので、この点での比較はあまり意味がないように思います。

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JALの優先搭乗の様子。優先搭乗している乗客のほうが多いのではないか??

シート

いよいよ機内に入ると、シートに座ります。ANAプレミアムクラスは、機材によってシートの構成が大きく異なるようなのですが、今回は私が搭乗したB777系のシートをご紹介します (羽田-伊丹線だとこの機材に当たる確率が最も高いようです)。

ANAJAL革張りのシートになっていて、もちろん座席の前後の間隔や幅にゆとりをもたせた構成になっています。シートのつくりは両者に差があり、ANAが直線的でソリッドなつくり、JALがどちらかというと曲線的なつくりになっています。座り心地がいいのはJALかと思いましたが、ANAのシートはなんだかかっこいいなと思いました。長時間座るならJALのシートですかね?

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ANAプレミアムクラスの座席

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JALファーストクラスの座席

機内食

このクラスのサービスの特徴として、機内食が出てくることが挙げられます。羽田-伊丹線は空にいる時間が30分ちょっとなので、かなり急いで食べることになってしまうのですが……。

ANAでは弁当箱のような食器が併用されていますが、JALは基本的にすべて陶磁器のお皿に盛られているという違いがあります。やはりお皿に盛られていると心なしか印象が異なりますね。ANAはふぐを使った料理、JALはエビや貝などの魚介を数種取り合わせた料理でした。インターネットでは「ANAプレミアムクラスの機内食はあまり美味しくない」という意見がしばしば見られるようですが、今回食べたものはそのような印象を感じず、美味しかったです。JALも味の面では負けていないというか、僅差でJALのほうが上かなと感じました。これはメニューやその人の好みによっても変わると思います。

ちなみにANAJALもご飯がかなり柔らかめだったんですが、これは調理上仕方ないのでしょうか。

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ANA機内食

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JAL機内食

CAさんのサービス

このクラスにおいては、CAさんがお客さんの数に対して多めに配置されており、普通席よりも行き届いたサービスを受けることができます。搭乗時にコートを預かってもらえますし、飲み物がなくなったらすぐに補充してもらえます。困ったことがあったらすぐに声をかけられるという安心感も、羽田-那覇便などの長距離便だとありがたいでしょう。

どちらの会社もCAさんのサービスは素晴らしい水準でしたが、JALのサービスが本当に素晴らしくて圧倒的だと感じました。最初にコートを預かってもらった後、おしぼりをいただき、ベルトサイン消灯後機内食の給仕、飲み物がなくなった際の補充の手際の良さ、本当に文句がありませんでした。飛行機が動き出すまでの間に飲み物を予め聞いておくなど、短いフライトでも最大限のサービスを提供するための工夫が凝らされていたのが印象的でした。

CAさん自体とは関係がないのですが、サービスで気になったのがWi−Fiサービス。ANAの機材がWi-Fi非対応だったのが残念でした。幹線級の路線ではWi-Fi対応機材を入れてほしいと思った次第です。

預かり荷物の返却

飛行機から降りる際も、サービスは続きます。まず、ANAプレミアムクラスやJALファーストクラスは、飛行機の前の方に座席が用意されているため、飛行機のドアが開いた際に真っ先に飛行機から降りることができます。

また、荷物が多い場合手荷物を預かってもらうわけですが、その返却の作業があります。あのベルトコンベアに荷物が乗って流れてくるやつです。預け荷物の量が多いとなかなか自分の荷物が出てこなかったりするわけですが、ANAプレミアムクラスおよびJALファーストクラス搭乗客には、荷物が優先的に先に出てくるサービスが付いています。荷物に「プライオリティタグ」という専用のタグが付けられ、そのタグが付いている荷物は先にベルトコンベアに流すようになっているわけです。

今回荷物は大したことなかったのですが、このサービスを比較するためにあえて荷物を預けて返却してもらいました。結果としてはどちらの会社でも最初から数個以内に荷物が出てきて、すばやく到着ロビーに出ることができました。羽田-伊丹便だと荷物を沢山預ける人も多くないので、この結果だったのだろうと思います。

まとめ

表に今回の比較の結果をまとめました。

ANA JAL コメント
予約 × ANAの事前アップグレードサービスは良い
料金 同一区間で2,000円の差は大きい
設定路線数 × ANAの設定路線数の多さは素晴らしい
保安検査まで 大差なし。ラウンジが直結してるANAのほうが僅差で上か
ラウンジ JALのほうが軽食が出る分一応上手か
搭乗 優先搭乗多すぎ
シート 座り心地はJALのほうが良い
機内食 皿で出てくると印象が異なる
CAさんサービス ANAも十分だったけど、JALは圧倒的でした
降機後 大差なし

設定路線数ではANAが圧倒的です。また、予約から保安検査までの体験もANAのほうが上です。JALは事前アップグレードできませんし、そもそも全体として予約システムが使いづらいです。

しかしラウンジ入室から搭乗、そしてフライト中の体験はJALのほうが上だと感じました。これは、ANAが設定路線数の多さのあまり最上級会員と同等のサービスをプレミアムクラス搭乗客に提供できていないことが大きいと思います。JALファーストクラスなら、原則として最上級会員と同じ扱いです。

料金はANAのほうが若干高めに設定されており、この料金は空港到着から降機までのサービスの対価と考えると、JALに比べて高いのは正直微妙です。

全体を総合すると、JALファーストクラスのほうがより良いという感想になりました。ただ、この評価はJALがあえてファーストクラスの路線数を絞っているから実現されているものだろうと思います。JAL側もサービス内容を落とすぐらいなら、路線数を絞ったほうが良いという判断をしているのではないでしょうか。