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「格安スマホ」ってそもそもなんなの?ありがちな誤解

最近「格安スマホ」というものが流行っているようです。ふつうにドコモ, au, SoftBankスマホを買うと高いけども、「格安スマホ」にすればずっと安くなるらしいです。しかし、この「格安スマホ」というものに関していろいろな記事などを読んでいると、ちょっと勘違いのようなものもよく見受けられます。今回は、それについて触れてみたいと思います。

「格安スマホ」に明確な基準はない

そもそも「格安スマホ」という単語は、昨年辺りから流行りだした単語なのですが、明確に「これが格安スマホです」、という基準はないようです。なので、誰かが格安スマホだと思っているものでも、他の人は格安スマホだと思っていないということもありえます。

そういう状況なので、「格安スマホ」について考えるときは、まず「格安スマホ」はなぜ普通にスマホを買うより格安なのか、というところから考える必要があると思います。

「格安スマホ」ってそもそも何?なんで安いの?

世間一般の「格安スマホ」に関する記事を読んでいると、「格安スマホ」と言うのは大体3つぐらいの意味で使われているようです。

  1. 安いSIMフリースマートフォン
  2. 安いMVNO回線
  3. 1.と2.の2つを組み合わせたもの

これら3つについて1つずつ見ていこうと思います。

安いSIMフリースマートフォン

従来スマートフォンを買うときは、ドコモ, au, SoftBankと回線の契約をした上で、ドコモ, au, SoftBank (以下3社と呼びます) からスマートフォンも買うのが普通でした。ところが最近家電量販店などに行くと、3社とは全く別にスマートフォンを販売しているコーナーがあります。これらのスマートフォンはSIMフリースマートフォンと呼ばれます。

SIMフリーとは何でしょうか?3社から購入したスマートフォンは、基本的にその購入した携帯電話会社の回線でしか使えないようになっています。これがSIMフリーではない状態です。SIMフリーだと、そういう制約が一切ないので、どの会社の回線でも利用可能です。SIMフリースマートフォンは、とりあえずスマホだけ買って、あとは自分の好きな携帯電話会社の回線で使うという事が可能なのです。

SIMフリースマートフォンには様々な種類があります。当然値段も様々です。3社で販売されているスマートフォンほど最新鋭ではないけども、そこそこ使えるというスマートフォンも多く、これらは当然やや安いです。これが、「安いSIMフリースマートフォン」の正体です。

「SIMフリースマートフォンはみんな安い」というのは間違いです。たとえばiPhoneにもSIMフリーで販売されている物がありますが、この値段は3社で購入した時の値段とさほど変わりません。

またSIMフリースマートフォンはどの会社の回線でも利用可能なので、希望であれば、今使っている3社の契約のまま、スマホだけSIMフリーのものに変えるということも可能です。

安いMVNO回線

家電量販店のSIMフリースマートフォンの売り場に行くと、よく「格安SIM」や「MVNO」なるものも見かけます。これは一体何でしょうか。

現在の日本の携帯電話事業には、これまでの3社の大手事業者以外に、MVNOと呼ばれる事業者が参入しています。3社は、アンテナから電話・インターネット接続までですべて自社でまかなっています。一方MVNOは、アンテナなどの設備は3社から借りていて、インターネットに接続する装置の部分だけを自社でまかなっている事業者です。例えば、ドコモのアンテナを借りているMVNOのことを「ドコモのMVNO」と呼んだりします。

MVNOは、アンテナなどの設備は3社のものを借りているので、電波自体はこれら3社と全く同じものが使えます。一方で、インターネット接続の部分は自社でまかなっているので、料金プランやサービスなどはオリジナルで作ることができます。MVNO各社は、インターネット接続の品質やサービスの質を少しだけ落とす代わりに、料金を安くしている事が多いです。これが、「格安SIM」だったり「MVNOは安い」と言われている理由です。

「MVNOはSIMフリースマートフォンでないと使えない」というのは間違いです。MVNOは、電波自体は3社と同じなので、ドコモのMVNOであればドコモで買ったスマートフォンがそのまま利用可能です。

「MVNOは電波が弱い」というのも間違いです。何度も言いますが、MVNOが使っている電波は3社と同じなのでつながりやすさは同じです。ただし、インターネット接続の品質を値段に応じて調整している事業者が多く、インターネット接続の品質は3社に対して劣ることもあります。

2つを組み合わせたもの

安いスマホと安い回線を組み合わせれば、当然コスト削減効果はもっと大きくなります。

「端末」と「回線」を分けて考えよう

日本では長いこと「端末代」と「通信費」を同じ会社に払うのが当たり前となっているので、「端末」と「回線」を分けて考えるという考えが根付いていません。こういった考えのまま「格安スマホ」というものを見ていくと、「SIMフリースマホじゃないと格安SIMは使えない」とか「SIMフリースマホにすれば必ず安くなる」といった勘違いをしがちです。

以前どこかのブログで読んだ事例で、悲惨なものがありました。そのブログの著者は、「大手携帯電話会社は高い!」と常日頃感じておられたようで、iPhone 6発売を機に、端末をSIMフリーiPhone 6に変更しました。しかし、回線はこれまで使っていたSoftBankの回線をそのまま使っているのです。この組み合わせは、多くの人々にとって無意味な組み合わせです。なぜなら、

  • SIMフリーiPhoneは別に大手携帯電話会社から販売されているiPhoneと比較しても安くない
  • SoftBankの回線もMVNOに比べれば安くない

からです。しかもこの人は、SoftBankの回線しか持っていないようでした。SoftBankで使うと決めているのであれば、素直にSoftBankiPhoneを買ったほうがお得です。おそらくこの人は「SIMフリーにすれば安くなる」と思い込んでしまったのでしょう。

本当に携帯電話に対する支出を減らしたいのであれば、「端末」と「回線」を分けて考え、「端末をSIMフリースマートフォンにして回線をMVNOにする」選択肢だけではなく、「回線をそのままにして端末だけ安いものに買い換える」とか「端末はそのままに回線だけMVNOに乗り換える」とかの選択肢も検討する必要があります。これは非常に面倒くさいことのように思えますが、人それぞれ生活スタイルによってお得かつ満足できる端末と回線の組み合わせは異なるので、ある意味で仕方ないことだと思います。

また、単純に「違う大手携帯電話会社に乗り換える」という選択肢も忘れがちですが、要検討です。大手携帯電話会社は、特にiPhoneを購入する乗り換え客に対して手厚い優遇策を打っています。これらをうまく利用すると、思ったより小さい負担で、最新鋭iPhone+大手携帯電話会社の回線を使えることすらあります。