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私とコミックマーケット

今年も有明の某所でコミックマーケット(以下コミケと略す)と呼ばれるイベントが開催される。今年は諸事情により3日間とも参加することは難しいが、1日ぐらいは参加できればと考えている。

記録に残っている限りは、私のコミケ初参加はC73で、それからC87以外の全てのコミケに参加してきた。なので、今度のコミケに参加すれば15回コミケに参加したことになる。長いコミケの歴史からすればまだまだ若輩者ではあるが、ふと自分とコミケについて振り返りたくなった*1。せっかくなのでここにそれを残しておこうと思う。

C73〜C77

率直に言うと、この時期についてはぼんやりとしか覚えていない。ちょっと昔すぎるのもあるし、この頃の自分は記録も一切残していないというのもある。

私がコミケに行き始めたのは、その頃絡んでいたオタク仲間の人に誘われたのがきっかけである。この頃の私は関西に住んでいたので、必死にバイトをして宿泊費と高速バス代を捻出し、コミケに参加していた。お金をケチって4列バスだったので、辛かったことを覚えている。

きっかけがきっかけなので、誘ってくれた人と組んで行動するのがこの時の参加スタイルだった。具体的に言うと、あるグループのファンネル*2としての活動が中心だった。このグループは、誘ってくれた人を含めて30人ほどのグループだった。どこから仕入れてきたのか、サークルチケットを多い日は10枚ほど投入して活動していたと記憶している。このグループの長は軍師のような人で、当日の朝に全員分の希望リストとにらめっこしながら、全員の戦闘能力を元にサークルや企業の配分を行っていた。この長の采配は本当に見事で、毎回回収率は95%以上を維持していた。私は下っ端だったので、チケットを配分してもらうことはなく、普通に始発で入ってそんなに並ばないサークルを割り当てられていた。この手のグループは、長の人は買いに行かずホテルあたりから指令を出す*3、というのも多いらしいが、私が所属していたグループは、長自ら戦場に繰り出していた。むしろ、長の戦闘能力が一番高かったと思う。このグループは、コミケを快適に過ごすにあたって必要なマナーについて*4しっかり教えてくれたので、感謝している。長が徹夜を非常に嫌っていて、その考え方は今の私の考え方にも影響している。

この頃の自分がどのようなサークルや企業を回っていたのかはよく覚えていないが、企業ブースの占める比率が割と高かったと思う。同人についてあまり詳しくなかった自分にとって、とりあえずわかりやすかったのが「企業」だったというのもあるだろう。多い時は、企業だけで6〜7万ぐらい、合計で10万ぐらいは投入していたのではないだろうか。同人も回ってはいたが、いわゆる男性向けの超人気サークルがほとんどだったと思う。ファンネルをやっていると、そういったサークルを回ることが多く、ついつい欲しくなってしまうというのもあるし、同人に疎くてもサークルの名前ぐらいは知っていたり、中の人の名前を商業で知っていたり、というのが理由だと思う。また、もともと関西の方で同人誌即売会には何度か参加していて、その時に見たことがあるサークルも買っていたと思う。

この頃にはすでに大まかに

  • 1日目……女性向け, 企業
  • 2日目……東方, 女性向け, 企業
  • 3日目……男性向け, 企業

という流れが確立されていた。東方に当時そこまで関心のなかった私は、1日目と2日目に企業を回り、3日目に男性向けを回るというスタイルでの参加だった。

こう書くと、買ってばかりだったように見えるが、実はこの時期にサークル側としての参加もしている。合同誌企画で小説を書いたりもしたし、絵を寄稿したこともある。目当てのサークルや企業を回るのも楽しいのだが、自分の手で何かを作り出すという行為もまた楽しいのだと気づくきっかけとなった。それに、売り子もなんだかんだいって楽しい。

この頃のコミケは、今ほど携帯電話がまともに使えなかったのでずいぶん苦労した。ファンネルで頼まれたものを買い終えて連絡をとろうとすると、3回に1回ぐらいしか電話がつながらなかった。酷い時は10回かけてもつながらないこともあったと思う。

C78〜C81

東京に引っ越してきたので、参加にあたって体力面ではだいぶ楽になった。前述のグループに参加するのをやめて、小規模なグループで参戦するようになったのがこの時期になる。特に前述のグループと喧嘩したというわけでもないのだけど、なんとなく大きなグループで頑張るのに疲れてしまったんだと思う*5

このグループは前述のグループと比べるとゆるいつながりで、明確な組織構造はなく、構成員全員が平等な組織体系だった。メンバは少なかったけども、私以外のメンバの練度が高かったこともあって、割と回収率は良かったと記憶している。この時の参戦スタイルが今の私の参戦スタイルに直接影響していると思う。

この頃は、若干企業ブースの比率が下がって、同人の比率が上がってきた時期である。遅ればせながらも東方にハマったりして、2日目に企業を回るということをしなくなったのが理由。1日目に企業、2日目に東方、3日目に男性向けという回り方をするようになったということである。単価の高い企業が減ったので、ちょっと財布は楽になった。

この頃からコミケの参加者が増えてきて、以前から購入が大変だったトップクラスの人気サークルともなるとチケット無しでフルセット購入は困難になってきた。基本的に同人は人気サークルしか回っていなかった私だったが、この頃からそのことに対して少し考えるようになる。

相変わらず携帯電話はひどかったと記憶しているが、WiMAXなるものが登場して、WiMAX端末を持っていればデータ通信はそこそこ快適に出来る、という時代になった。ちょうどauWiMAX端末の無料お試しレンタルをやっていて、それを使って参戦したこともあった。いわゆるWi-Fi忍者が登場したのも多分この時期だと思う。

C80〜C83

東方にハマって、そこから東方アレンジという存在を知り、同人音楽という世界を開いてしまったのがこの時期である。最初は東方アレンジだけだったのだが、そこからEDM系に広がり、ロックやピアノ・ストリングス系まで手を広げていった。最盛期の頃は、3日目の男性向けに投入する額と同人音楽に投入する額がほぼ同じぐらいになっていたと思う。いわゆるジャンル買いの楽しさを覚えた時期である。人気サークルにこだわらずガッツリ新規開拓していったので、新規開拓の楽しさを覚えたのもこの時期である。

同人音楽は同人誌と比べて人気サークルでも割りとハケが良くて、長時間並ぶことなく効率よくスペースを回れる傾向にある。そういったこともあって、ついついたくさんサークルを回ってしまい、積み本ならぬ積みCDを増やすという状態になっていった。

そして、同人音楽のウェイトが高まるに従って、企業ブースへの投入額はどんどん減っていった。C83のころには、人から頼まれたものを買ったり、どうしても欲しいものがあった時に1つか2つスペースを回る程度にまで企業のウェイトは低下した。結果として企業中心に回っていた1日目にゆとりが生まれることになって、いわゆる御三家*6に足を向けることが増えた。

なんだかちょっと疲れが出てきて、人気サークルに長時間並んで買う、といったことに対するモチベーションが下がってきてしまった時期でもある。2時間やら3時間やら並ぶサークルには、相当な思い入れがない限り並びたくないな、と考えるようになってしまった*7。色々理由はあるだろうが、体力的な部分も大きいだろうし、嗜好の変化もある。以前ほど熱は入ってないけど惰性で回っていた、みたいな人気サークルを削ったりして、並んでいた時間を新規開拓に当てたりするなど、試行錯誤を続けることになる。

午前中はお使い&昼過ぎから売り子をするという約束で、朝にチケット入場して午前中はスペースを回るといったこともした。チケットを使わないと買えないようなサークルを回ったわけではなかったが、やはり精神的に楽だというのも事実である。この時初めて、チケット入場者のシャッター前待機列というコミケの闇と対峙することになる。この後もチケット入場は何度か経験することがあって、なんとなーくシャッター前待機列の読み方もわかるようになった。

C84〜C86

過熱気味だった(自分の中での)同人音楽ブームが過ぎ去っていったのがこの時期。積みCDが増えすぎたのが原因の一つであることは間違いない。同人音楽ブーム以降、私の中で次のブームはまだ来ていない。アイマスはプロのPの方々に比べて参入が遅すぎる気がして手が出ず。艦これは人が多すぎてちょっと回る気になれなかった。

東方の同人誌自体を殆ど買わなくなっていたのと、自分が回っていた音楽サークルはたいてい委託していることが理由で、2日目に参加する動機が薄くなってきたのもこの時期である。ただ、同人音楽つながりでお付き合いの出来た人がたくさんいたので、挨拶のために2日目に参加は続けていた。

この頃からソロで参加する日が出てくる。何度かコミケに参加してイベントの流れのようなものもなんとなくわかってきたので、一人で参加しても死ぬことはないだろうと判断したといったところである*8。ただ、主に大学の同期などと必要に応じて連携をとったりはしている。この辺りのやり方は、C78の頃から関わってきた小規模なグループのスタイルを受け継いでいる。弊大学の人は非常に練度の高い人が多く、頼もしい。

コミケに対するモチベーションは相変わらず高かったけども、その方向性は徐々に変容してきた。例えば、以前ほど実用的(意味深)な本は買わなくなって、本を買うときの基準がイラストそのものの美しさに向かっていった。結果として、マンガ形式の同人誌よりイラスト本を買うことが増え、全年齢対象の本の割合も相当に増えた。

試行錯誤を続ける中で3日目に回るサークルの数が絞れてきて、正午以降の時間の余裕が出てきたので、新たなジャンルの開拓を始めたりもした。評論や技術島なんかはその例で、「書体の研究」なんかは気に入って毎回買っていた。

携帯電話事業者各社がVoLTEを始めてくれたので、高音質通話を試したりした。あの会場は結構騒がしいが、音質がいいというだけで周りが騒がしくとも通話がだいぶし易いという事実に気づくことになった。LTEの普及や各携帯電話事業者の努力もあって、通信環境はかなり改善し、以前ほど携帯電話に関してうるさく言う人も減ったのではないだろうか。この頃から、携帯電話事業者が明らかにコミケ向けの痛移動基地局を持ってくるなどといった変化もあった。

C87

長らくコミケは皆勤だったが、C87はインフルエンザに罹患して参加できなかった。やはり参加できないというのは辛かったけども、ちょっと一歩引いたところからコミケを観察するきっかけにもなったと思う。

C88

ジャンルが大きく変わったので、これまでとは回り方が大きく変わることになると思う。まだ前日の時点でカタログを開けてすらないので、何日目に参加すればいいのか把握していないけども。相変わらず男性向けは3日目らしいので、3日目にはできるだけ参加したい。C87で(自分の中での)皆勤が途絶えたというのは結構大きくて、これまでは意地でも3日フル参加してきたのに対して、3日フル参加に必ずしもこだわらなくて良いと考えるようになった。

振り返って

私は男性向け中心に回っている人間なので、男性向け人気サークルとどのように向き合うかが、コミケとの向き合い方にも反映されてくると思う。最初の頃はとにかく人気サークルの頒布物を見ると欲しくなっていたので、多額の軍資金を投入して、頒布物を根こそぎ買っていた。ここ最近は、自分の中での嗜好の「軸」のようなものがあって、その軸に合うサークルは「這ってでも買いに行く」けども、そうでないサークルは「余裕があったら買う」だったり「まあ別に買わなくてもいい」といった位置づけをとるようになった*9。サークルの人気みたいなのにこだわらなくなったということだろうと思う。もちろん嗜好の軸は動的に変化するものなので、今初手で買いに行くサークルにいずれ寄らなくなるかもしれないし、今見向きもしていないサークルに全力をつくすようになるかもしれない。それも含めて面白いのだろうと思う。

数十人のグループで綿密に作戦を立てつつチケットなども動員して買いまくる、みたいなスタイルからは今でこそ距離をおいているものの、これはこれで面白いと思っている。疲労もひとしおなんだけど、高い回収率を達成した時の達成感みたいなのがあるわけで。今この手のグループに参加すると、「余裕があったら買う」位置づけのサークルをガッツリ買うことになるので、軍資金が恐ろしく増えそうだけど。

ここ最近ソロ参加する日が増えてきているが、今後もその傾向は続くと思う。自分の嗜好が変わってきて、他の人と回るところがあまりかぶらなくなったというのもあるし、ゆるい連携の気楽さみたいなのにハマっているというのもある。待機列に並んでいる時のトイレだけは困るけど。

15回程度コミケには参加してきているけども、よく考えてみると、私が知っているコミケというのは実に一部でしかない。私が主に回るのは男性向けのジャンルだが、男性向けジャンルというのはコミケにおいては少数派だからである。昔から今に至るまで、コミケにおける最大派閥はホモに違いない。ざっと数えてみると、サークルのうち半分くらいがホモなんだそうだ。こう書くと、いよいよホモの開拓も必要なのではという気もしてくる。ざっと観察した感じだが、女性向けは男性向けのように長蛇の行列ができるというサークルは少ないようにみえる。男性向けだと会場を半周するような列を形成するサークルが複数あって、そこに莫大なリソースが投入されているわけだけども、女性向けでそういうのはほぼ見たことがない。あんまり女性向けで大規模なグループを作って買っているという話も聞かないし。カルチャーの違いのようなものが感じられて、興味深い。

大本営発表によると参加者はここ最近増えていないようだが、体感には明らかに参加者は増えている*10。特に増加著しいのが徹夜組ではないだろうか。弊大学の学生のTwitterをフォローしていると時々徹夜組だろうと思われるツイートが流れてくるのが残念である。そろそろ徹夜組を並べるスペースもなくなってきそうなので、有明の海にでも叩き落としたほうが良いかもしれない。夏であればちょうど涼しくて良いのではないだろうか。また、チケット組も確実に増えていると思う。ここ数回はシャッター前待機列の人数が割とシャレにならないレベルになってきているように見える。近いうちに何らかの限界が到来するのではなかろうか。

スタッフも経験したことがない世界であるので、一度は経験してみたい。ただ、あの世界からはなんだか縁故の空気を感じて、部外者である私がノコノコと入っていけそうにない。

東京オリンピックの関係でどうなるかは分からないが、恐らく2021年か22年ぐらいにはC100を迎えることになると思う。それまでコミケが続けばいいと思うし、できればC100までは頑張って参加できればと思っている。その頃にどのようなジャンルが流行しているか楽しみだし、自分がどのような形でコミケに関わっているのかも楽しみである。

*1:目の前のタスクに詰まって逃げたくなったともいう

*2:コミケほどの大規模なイベントになると、いわゆる人気サークルや企業が大量に出展しており、到底一人では全てを回り切ることは難しくなる。そこでグループを組み、そのグループのメンバで共同購入を行うという習慣が存在する。このグループの構成員のことをファンネルと呼ぶ

*3:そのくせ人気サークルばかり買いに行かせる

*4:サークルに万札は持って行くなとか

*5:前述のグループのメンバの人とは、今でもたまに会場で会って話をすることもある

*6:1日目に出展している3つの男性向け人気サークルの総称

*7:といいつつ、艦これスタッフ本とかは3時間ぐらい並んで買った

*8:人に頼れないので、万が一のための経口補水液を導入するなど、準備はより入念に行っている

*9:前このようなことをTwitterに書いたところ、「買えないから負け惜しみしている」といった趣旨のことを言われた。そういう価値観もあるのだろう

*10:多分消防法の関連とかでまともな数字は出せないんだろう