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定額で音楽聴き放題の時代?

Spotifyのヒットで海外では定額音楽配信サービスが注目を集めているようだが、日本でもここ最近有名サービスを運営している企業が定額音楽配信サービスを開始し、話題となっている。

日本ではエイベックスとサイバーエージェントが5月よりAWAというサービスを開始。さらに6月になってLINEがLINE MUSIC、AppleApple Musicを開始。一般層にもよく知られた企業が定額音楽配信サービスを始めたことで、日本でも今後この手のサービスが普及してくるかもしれない。

定額音楽配信サービスが普及すれば、これまでの音楽配信が主流だった時代と比較して、音楽に対する人々の捉え方が変わってくるのはないかと考えられる。これは、ウォークマンが登場したことで「外で音楽を聞く」というスタイルが確立されたときの変化を想起させる。

音楽そのものではなく音楽を聞く権利に金を出す

定額で音楽が聴き放題ということは、わざわざ曲を選んで購入するというステップすらなくなる。音楽にお金を出すのではなく、無数にある音楽をいつでも聞ける権利にお金を出すことになる。その時その時の最新曲を新たな負担なく聞くことが出来る。ストリーミングを基本としているから、ストレージ容量も気にしなくて良い。これは、人と音楽を結びつける際に生じうる障壁を可能な限り取り払った新たなエコシステムといえるだろう。

いい意味でも悪い意味でも音楽は軽い存在となる

何曲聞いても定額なのだから、音楽が持つ特別な価値というものは、よくも悪くも下がっていくのではないかと考えられる。良い意味の例として、LINE MUSICとLINEの連携がある。LINE MUSICはLINEと連携し、LINEで何曲でも音楽を送ることが出来る。友達にお気に入りの曲を勧めたり、自分の感情を伝える手段として音楽を使うという使い方が考えられる。これは1曲ずつ買い切りのエコシステムでは (曲を買った人自身に所有権があるから) 難しい使い方だ。悪い意味では、音楽の流行り廃りが今よりもっと加速するのではないかという懸念もある。私は古い人間なので、曲自体にお金を出すことで生まれる愛着というのも否定出来ない。定額音楽配信サービスではそういった愛着を持つことが出来ないので、一つ一つの曲が「消費」されるスピードが速まるのではないかという気もしている。

AWA, LINE MUSIC, Apple Musicはどう違うか

日本国内で注目されている定額音楽配信サービスとしては、AWA, LINE MUSIC, Apple Musicの3つが挙げられるだろう。これら3つのサービスの違いについて様々な観点から見てみたいと思う。

配信曲数

定額音楽配信サービスの競争指標として配信されている曲数は重要だ。同じお金を払うのなら、よりたくさんの曲を聞ける方が嬉しい。

配信曲数に関しては、Apple Musicがダントツで3,000万曲以上である。AWAとLINE MUSICが年内に500万曲を目指している。こうしてみるとApple Music一択のようにも思えるが、Apple MusicがAppleの運営であることに留意したい。Appleはアメリカの会社なので、ちょっとマイナーな邦楽になると配信されていない可能性が高い。その点は、日本の会社が運営している残り2つのサービスのほうが強いだろう。

ちなみにオタクソングに関しては3つとも微妙である。これは仕方ないか。

ビットレート

ビットレートも気になる指標である。3つのサービスそれぞれで

  • AWA……64kbps 128kbps 256kbps 320kbps(Wi-Fi接続時のみ)
  • LINE MUSIC……64kbps 192kbps 320kbps
  • Apple Music……256kbps

となっている。最高ビットレートだけで見れば、Apple Musicが一番低いけども、256kbpsは決して低いビットレートというわけではない。それよりはAWAとLINE MUSICの最低ビットレートである64kbpsが気になる。圧縮方式によるが、64kbpsだとさすがに素人耳でも劣化が気になるレベルになるのではと思うのだが。

オフラインでの再生

定額音楽配信サービスはストリーミング再生を原則とするが、ネットワークに繋がっていない環境でも再生ができるのであればなお嬉しいはずだ。現状3つのサービスの対応状況は、

  • AWA……非対応(対応に向けた準備中)
  • LINE MUSIC……キャッシュ機能はあるが完全にオフラインでの再生はできない
  • Apple Music……対応

となっていて、Apple Musicが一歩抜き出ている。とは言え後の2つのサービスも直に対応予定とのことで、この点での差はつかなくなりそうだ。

レコメンド機能

定額音楽配信サービスでは、無数にある音楽の中からユーザの感性に合った音楽を如何に掘り出しやすくするかがサービスの価値を決めるだろう。そこでレコメンド機能の充実は重要な指標となる。

  • AWA……有名アーティストによるプレイリスト機能、ユーザの行動分析によるサジェスト
  • LINE MUSIC……LINEとの連携を重視し、友人がよく聞いている曲を教えてくれる機能
  • Apple Music……オンラインラジオ、アーティストとファンを繋ぐ機能、行動分析によるサジェスト

この機能については3つのサービスがそれぞれ目指している方向が違うという印象。AWAは音楽好きに向けたサービスを志向しているようだし、LINE MUSICはLINEとの連携を重視。Apple Musicはオンラインラジオが特徴的だ。

対応デバイス

せっかくサービスを契約しても一部の端末でしか使えないのであればもったいない。

  • AWA……iOSAndroidに対応。PC版は近日リリース
  • LINE MUSIC……iOSAndroidに対応、PC版は近日リリース
  • Apple Music……iOSとPCに対応、Android版は近日リリース

ここでは差がつかなさそう。

利用料金

お金を払うサービスなので、利用料金も重要な要素だ。

  • AWA……Liteプラン(360円) Premiumプラン(1,080円)
    • Liteだとオンデマンド再生、プレイリストの作成と共有ができない
  • LINE MUSIC……ベーシックプラン(500円/学割300円) プレミアムプラン(1,000円/学割600円)
    • ベーシックプランでは月に20時間まで利用可能
  • Apple Music……個人向け(980円) ファミリープラン(1,480円)
    • ファミリープランでは6人分までを1つの契約で利用可能

Apple Musicに割安感がある。LINE MUSICには学割があるため、学生であれば一番安く利用できる。LINE MUSICは若者ウケする音楽を中心に拡充している印象があるため、学生であれば一番コスパが高いかもしれない。

また、AWAApple Musicは3ヶ月のお試し期間がある。LINE MUSICは8月9日までオープン記念で無料となっている。

2015-07-04追記

Apple Musicを始めてみました。

alstamber.hatenablog.jp